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ソノン闘技場の出来事
官能リレー小説 - 同性愛♂

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ソノン闘技場の出来事 6

正直なところサイリルの動きにはグレゴリーも焦りを感じていた。とっさに身を反らしていなければまともに攻撃を食らっていただろう。
サイリルは同じように構えながら問う。
「このまま俺が勝ってしまったら何かあるのか?」
「こんな模擬戦もどきで、何かあるわけねっぺ。まぁおれぁド突きまっせば、半端もん蹴散らすみたいなもんだな」
自分と相手の差が見えてきたので、せいぜい練習相手程度にしかならんとグレゴリーは考えた。
試合ならば一矢報える自信はあるが、それは戦士が戦場に立って生き残る類だ。
わざわざ付き合うほどの義理でもないので、闘技場で目的を果たす手伝い以上に関わる関係にはならないと踏んだ。
「おみゃあさん、だいぶアンバランスだのぉ。身体能力は十分、技術は一流。だが心は幼いままとはなぁ」
目的しか見えず、そこに直行することしか考えていない。相手の都合や、場所のルールを障害と見てるようなのだ。
「たしかに強い……だが一流ば超えとらん。階段を下りるんば足りず、戦餓鬼をぼてまわすには足りとる」
半端者とは戦わせられず、戦餓鬼が束でやっと試合が成り立つかもしれないレベル。
しかし階段を下りるには、壁を超えていないのがサイリルである。
サイリルは突然兄が居なくなり、妙な環境で一人で生きてきた。心が育たないのも仕方がないのかもしれない。
それにサイリルは兄が見つかればそれでいいので、闘技場で戦うことについてはこだわりがあまりない。
グレゴリーはそれを察し、やり方を変えた。
腰を低くした構えのままに身をなまめかしくよじりだし、サイリルを挑発する。
きわどい布切れしか身に付けていないグレゴリーの姿はまるで踊り子か何かのようだった。お世辞にも美男子とはいえないがっしりとした男だというのに、色気がある。
童貞であるサイリルはその動きに幻惑されて、攻撃のペースが乱れた。
大振りな一撃をかわすと共に少年の足元に踏み入り、サイリルの領域を狭め踏み込みを弱めていく。
かつて奴隷が舞踊に見せかけて伝えた、抵抗と反逆の牙たる武術。
呼吸と拍子を極め相手の機先を制すことに重きを置いた、強者を殺す足捌きを見せつける。
グレゴリーがステップを踏むたびに、力の流れが曲げられ攻撃が空を切る。
踏み込みからの一撃が放てず、牽制の攻撃も潜り抜けられる。
練り上げた技巧も、基点を潰されては正しく機能してくれないのだ。
意識を集中しようとしても、指の先やら尻の動きやらに惹かれ、心拍が乱れてしまう。
「呵呵っ! いかんのぉ、戦の最中に意識ばそらせば、漬け込まれてしまうぞ」

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