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聖水を浴びる者
官能リレー小説 - 同性愛♂

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聖水を浴びる者 17

少年に小柄な野人が声をかける寸前、若者によって野人は木立に連れ込まれた。
「セルベ・ルダ・アンヤ! ……シルキ? ユバ・レダンタ」
「アルセ・ユヴァ、セタ。ドルミ・クダ、ソフラ・ケ・ラムシラシラッラ」
再会を喜ぶ若者――シルキと、小柄なセタ。
今まで何があったか情報を交換し、むやみやたらに姿を見せないことを決めた。
残る一人、トーバードは二人とは合流できそうになかった。
食虫植物のような巨大な壷型の器官に飲み込まれていたからだ。
易々と壊れそうなのだが、オークの力でも這い上がることも破壊することもできない。柔らかいので衝撃が吸収されてしまうのだ。
ため息を一つついたトーバードは、腰に下げた顔半分を覆う仮面を被り、周りに『守護の呪壁』を張った。
呪い師の素養を持つ彼は身を守るための領域を確保すると、どうやって逃げるか思案しだした。
力技が通じず、鈍らの刃では切り裂けない。呪刃が通るかもわからない以上、試すのは最後の手段だろう。
道中に集めた果実を齧り、ボーラで縊り殺したウサギ肉を焼いたのを噛み締める。
量は無いが水筒に小川の清水を確保してあるので、二〜三日では死にはしないだろう。
そうこうしているうちに着衣が煙を出し始めた。
内壁から特殊な酸のような液体がにじみ出ていたらしく、それはどういうわけか守護の呪壁でも完全には防ぎきれなかった。
着衣だけをピンポイントに溶かすらしいそれは単なる酸ではないらしい。守護の呪壁がなければあっという間に全裸に剥かれていただろう。
トーバードの目には、周囲に宿る呪霊が煮詰まった色に見えた。
永く生き過ぎたのか、生命の本質に従った繁殖欲が澱み、徒に雄個体を弄ぶ醜悪な色に変わっていたのだ。
彼ら野人も、仮嫁などの生命の本質から外れた文化を持つ。
だがそれは増えすぎないように人口を抑えるためでもあり、基本的に異性を好む彼らにとって嫌悪感がわいてくるような状態である。
生態系においての役割から外れ、このように自らの欲望のみに従うまで堕ちた壷型器官に対し、野人の誇りにかけて打ち倒して見せると心に決めた。

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