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戦国相姦 ‐淀君と秀頼‐
官能リレー小説 - 時代物

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戦国相姦 ‐淀君と秀頼‐ 24

千姫はそっと、秀頼の腕をとって絡める。
柔らかな感触が彼の腕を包んだ。
「この静かな池のように、いつまでも穏やかな世で共に過ごせればよいのだがな・・・。」
「はい・・・。」
「私は三国一の果報者よ。お千、そなたが嫁いできてくれたのだからな。」
千姫はほほを染めて、微笑みつつ答えた。
「ありがとうございます。」
「うむ。」
答えた秀頼は、満月を見上げた。

私は何としても、父上が築き上げし天下をこの手に取り戻す。これまで多くの寺社に寄進して、祭祀の権はこの手に掴みつづけたつもりだが、政の権もこの手に取り戻す。
千よ、お前を泣かせることになろうが、どうか許してくれ。お前へのわが愛は終生変わらぬことを誓おうぞ。


秀頼が千姫を連れて月を愛でていたのと同じ頃である。
「いかに言いつくろうても、御袋様は御用済みゆえ出て行けということではありませぬか!憚りながら上様のお振る舞いは不孝に過ぎまする!」
淀の方の寝所に、侍女の涙声が響いた。
「そう泣くでない。秀頼は豊臣の当主にふさわしき振舞いをしたまでのこと。今思えば、まだ未熟と思うてわらわが口を挟みすぎていたのやも知れぬ」
「さりとて、尼寺に行けとはあまりに酷うござりまする!あたらこのみどりの黒髪を剃りこぼたれるとは・・・」
なおも恨み言を言い募る侍女を、ふと軽く手を上げて淀の方が制止した。廊下から衣擦れの音が聞こえてくる。
「ご落飾については、そなたが案ずるには及びませぬ」
「大蔵卿局さま!」
部屋の外から呼びかけたのは、やや年老いた女房であった。
「立ち聞きを致しましたるご無礼、なにとぞお許しください」
「苦しゅうない、よき所へ参った。頼みおいた秀頼からの返事は?」
「はい、『この城を去り政へのお口出しさえなさらぬならば、他はお気の召すままになさって下され』とのお言葉にござりまする」
幼き頃より仕えてきた乳母の言葉に淀の方は満足げにうなずく。そして侍女の方へ向き直った。
「これで分かったであろう、髪を落とすと申しても、この頭は丸めはせぬゆえ安堵いたすがよい。霊前に丸坊主の女子ばかりでは、亡き太閤殿下も寂しゅう思し召されようからな」
淀の方はおのが胸にかかる長い鬢を愛しげに握り締めた。烏の濡れ羽色とも言うべき深みのある黒さが、白絹の寝巻きに鮮やかに映えている。
「とは言え、所詮は殿下への愛欲を断ち切れぬゆえのこと。罪深き女子と笑うてくりゃれ」
そう言いながら目を細め、悪戯っぽく微笑みかけた。


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