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予期せぬ再会
官能リレー小説 - 時代物

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予期せぬ再会 9

黒い大蛇、それはここの村人達の心の奥底に潜んでいた恐怖心が形作ったものであった。
実体化したそれは村に近づいた男達を喰らう。だが、本物の蛇ではないので命までは奪わない。
蛇に飲み込まれた者の着衣は溶かされて無くなり、全裸となる。
つまり蛇の犠牲者が増えるということは裸に剥かれた男達が蛇の体内に押し込まれていくということだ。そして、限界まで男を飲み込んだ大蛇は森の奥へと消えていく。
男根に対する恐怖心と飲まれた男達の溜め込まれた性欲が大蛇を動かしているのだ。森の奥に蓄積される黒いそれらはやがて飽和するだろう。
その時こそ、取り込まれた者達による淫らな宴が始まるのだ。
そんな事が進行しているとは露知らず、朝次郎と栄吉、そして駕籠かき達は股間を突き上げたまま余韻に浸っていた。
朝次郎の身体が、ぐいと持ち上げられる。栄吉も駕籠かきも同様だ。
そのまま朝次郎達は運ばれる。どこへ行くのかと考えることもなく。ただ快楽に身をゆだねる。それだけだった。
四人の体を軽々抱える事が出来る人物が風呂場に居たとは思えないのだが、その違和感に気づくことも出来ないで居た。
「黒い蛇はこの村に恐怖を与えていたものの象徴。男根への怯えから来る黒い感情そのものなのだ…」
何者かの声が四人の頭の中に流れ込んできたが、朝次郎達もその意味までは理解できなかった。ただ気持ちよくなれて良かったとぼんやりと感じるだけだ。
風呂場から連れ出された四人は、素っ裸のまま森の中へと入っていく。
そこには小さな泉があった。水際で四人は地面に降ろされる。
意識が朦朧としている朝次郎達はなすがままだ。四人は泉のすぐそばに横一列になって並んでいる。
(俺は一体…)
朝次郎は自分の今の状況を理解出来ずに困惑していた。その一方で、あらがうことなど出来ないのだろうというぼんやりとした感覚に包まれていた。
何か妖しげな儀式のような行為が進行しつつあるのだろうなと思いながらも、まるで他人事のように捉えている自分自身に対して驚きもしていた。
黒い大蛇が、自分達を取り囲みうごめいているのが気配として感じられた。頭の中に流れ込んでくる言葉の断片が朝次郎に蛇に関する知識を与えていった。
なので蛇に喰い殺される恐怖は感じなかった。

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