PiPi's World 投稿小説

予期せぬ再会
官能リレー小説 - 時代物

の最初へ
 -1
 1
の最後へ

予期せぬ再会 1

「お兄さん。ついでに乗ってくかい?」
梅宮朝次郎の目の前で停まった駕篭の中から声がかかる。中年の男の声だった。
駕篭の中には男が一人座っていた。
男は薄汚れた着流し一枚を羽織っているだけで、髪は乱れ放題で髭面であった。
そして、その顔には見覚えがあった。
「あんた…」
朝次郎は駕篭に乗り込むと男と向かい合うように腰かける。駕篭はすぐにゆっくりと動き出した。
「あんたも目的地は同じって訳だな」
朝次郎がそう言うと、栄吉という名の男は豪快に笑った。
「ハハッ!まぁそういうこった!」
「そうか…ついでに聞くがあんたが言っていた『良い情報』ってのは何だい?まさか、この先にある温泉の事じゃねぇだろうな?」
朝次郎の言葉を聞いて、またもや栄吉は大声で笑う。
「そんな事じゃないぜぇ?もっといい話さ」
栄吉はそう言うと、足を開くように座り直した。白い褌がこんもりと内容物に膨らんでいる。
栄吉は懐から紙切れを取り出すと、それを朝次郎に手渡した。
そこには地図のようなものが描かれており、複雑な記号がいくつか書き足されてあった。
「なんだい、これは?」
朝次郎が尋ねると、栄吉は嬉しそうな表情を浮かべる。
「女村」
「にょそん?」
得意げに栄吉が言うが、朝次郎は疑問に思いおうむ返しした。
「そうだ。女ばかりが住み、稀に来た男から種を得て子孫を残す」
「本当だったのか」
「そうなんだよ。この地図のここに女村がある。そしてこの周りに、ここと、ここと、ここ…
村があるだろ?」
栄吉が女村と呼んで指し示した村から数里ほど離れた場所に、村々が点在する。
「この村々では稀に男が一人、神隠しに遭っちまうんだとよ。
女村に迷い込んじまうらしいんだな、これが」
栄吉は得意げに語り続け、朝次郎が尋ねる。
「ってぇ事は、この記号は神隠しが起きた場所か?」
「そういうこった。それを元に、女村への道を示してる」
「じゃ、そこでなら、俺達はおなごをだき放題ってぇ事か」
「そうともよ。朝次郎、親友のお前だからこれを明かすんだ」
早くも二人は、女に囲まれた桃色の風景を、頭に浮かべている。

SNSでこの小説を紹介

時代物の他のリレー小説

こちらから小説を探す