PiPi's World 投稿小説

今日からお殿様!?
官能リレー小説 - 時代物

の最初へ
 3
 5
の最後へ

今日からお殿様!? 5

「ふう・・・随分と盛大な宴でしたね紫月(シヅキ)姫・・・疲れたのではありませんか?」
藩を挙げて盛大に行われた結婚披露宴を終え、和馬は今宵自分の妻と成った女性と、初めての夜を過ごす。
「ともあれ縁が有って結婚した以上。今日から僕たちは夫婦です・・・末永くよろしくお願いします、紫月姫・・・」
和馬は自分の下に嫁いで来た女性の緊張を、何とか和らげようとする。
だが、肝心の彼自身も内心完全にパニックを起こしていた。
(ううう・・・どうしよう。ボク今日まで一度も女性とエッチした経験が無いんだよな・・・まあ彼女もそうだと思うけど・・・一体どうやれば良いんだろう?・・・ああ!!こんな事なら道場の先輩に遊郭に行こうって誘われた時格好付けずに付いて行けば良かった・・・)
長年彼が通っていた剣道場の一人娘である。一つ年上の剣道小町の凛に憧れていた和馬は、自分の童貞は彼女に奉げるのだと勝手に決めていた為、実は全く女性経験が無かったのだ。

(はあ・・・落ち着け・・・落ち着けボク・・・)
だが、緊張しつつ、幾度も和馬が話しかけたにも関わらず、姫は美しい顔に一切の表情を浮かべる事無く、部屋の外の風景を一心に見つめている。
「・・・?紫月姫?」
不審に思った和馬が、彼女の肩に手を触れると。
「無礼者!!」
その言葉と同時に和馬の顔面に鉄製の火鉢が叩きつけられ、和馬は見事に気を失った。



「ハア〜」
初夜の晩に紫月に物の見事に拒絶された和馬は、割と深く傷ついていた。
(そうだよな・・・よく考えたら、彼女は別に好きで僕に嫁いで来た分けじゃ無かったんだよな・・・それなのに僕は彼女の心を考えもして無かった・・・拒絶されるのは、当たり前だ・・・)
和馬はそう思い自分を恥じていた。だが、元気の無い彼の様子に周りの者たちの間にとある噂が流れた。
「どうやら殿は、初夜の晩に何かしくじったらしいぞ」
「何でもイザという時にアレが立たなかったそうだ・・・」
「まあ若い内は仕方無いさ・・・」
「イヤ!!わしが聴いた噂では、殿には外に心に決めた女子が居るとか」
「おや・・・ワシが聴いた話では、その相手は男だという話ぞ」
「何!!殿が男色家だと!!」
「い・・・いかん!!いかん!!それはいかん!!もしそれが真実で殿にお子様が生まれないと、今度こそ我が藩は御取り潰しぞ!!」
「どうしたら良いのじゃ!!」
「何でも家老の牧村さまに何やらお考えが御有りとか・・・」
こうして初夜の晩に新妻に拒絶されたという和馬の噂は、噂に尾ひれどころか背びれまで付いた形で、本人の知らぬままに藩内を駆け巡っていった。




「和馬!!遅いぞ!!早く来ないか!!」
「そうですよお兄様!!早く行かないとお芝居に間に合いませんわ!!」
「わ・・・分かってるよ二人とも」
紫月姫との初夜以降塞ぎがちだった和馬は、家老の牧村の薦めで、息抜きに江戸の見物に行く事にした。
しかも嬉しい事に、故郷である秋吉田から義妹である春菜と、その護衛役として和馬の初恋の人であり、道場の一人娘である凛がやって来てくれたのだ。
因みに凛は今、カモフラージュの為に男装をしており、その姿は正に絶世の美少年といった姿だ。
(フフフ・・・良かった二人ともとても楽しそうで・・・それにしても牧村様は良い方だな・・・息抜きとはいえ護衛も無しで江戸見物に出て良いって言ってくれるなんて・・・)
もちろん、あの鋭い牧村の事だから、護衛に忍びの一人か二人付けているのだろうが、気配も感じさせない為、全くと言って良い程気にはならなかった。

(フフフフ・・・相変わらずのようだな和馬は・・・良かった・・・例え我が藩の藩主に成っても、やっぱり和馬は和馬のままで居てくれたみたいだ。・・・和馬が先代の隠し子で、我が藩の藩主に成ったと聞いた時は、この恋も終わりかと思ったが、家老の牧村様のお蔭で最後のチャンスを得ることが出来た・・・そうとも!!和馬が例え我が藩の藩主だったとしても、私は絶対に和馬の事を諦めないぞ!!牧村様の恩に報いる為にも、絶対に今夜和馬と一夜を共にしてやる!!)
男装の美少女侍がそう心に誓った隣では。

SNSでこの小説を紹介

時代物の他のリレー小説

こちらから小説を探す