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今日からお殿様!?
官能リレー小説 - 時代物

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今日からお殿様!? 1

「踏み込みが甘い!!」
パン!!
鋭い声と共に放たれた一閃は、少年の手から木刀を奪う。
「それまで!!」
道場の床に座り、二人の練習試合を見ていた老人が、そう言って試合を終わらせた。
「凛!!今の一閃見事!!成長したな!!」
「ハイ!!ありがとうございますお爺様・・・いえ師範!!」
少女は面を外すと、敬愛する祖父の賞賛に嬉しそうに笑う。
面の中に隠れた少女の容貌は、道行く人々がつい振り返ってしまいそうなほど、美しく。その名の通り、一本芯が通ったような、凛とした美しさだった。
「和馬殿も随分成長しておるな・・・相手の太刀筋をよく見ておる。じゃがそのせいで逆に慎重に成り過ぎておる。実戦では、勇気をもって一歩を踏み込まねば、勝つことは出来んぞ!」
「はい!師範!!」
「うむよろしい・・・ところで和馬殿。先ほど妹君がそなたを呼びに来ておったぞ・・・すぐに着替えてお帰りなさい・・・」
(?・・・春菜が?)
「はい!では失礼します師範・・・凛殿も・・・」
和馬は師匠に挨拶した後名残を惜しむように、凛に目を向ける。

「ああ・・・気を付けてな・・・」
凛は少しだけ不満そうな表情を浮かべながらも、和馬に挨拶する。
(クソ!!春菜の奴・・・せっかく凛さんとの稽古だったのに。よりにもよってこんな時に呼びに来なくてもいいのに・・・)
憧れの女性との一時を邪魔された和馬は、妹の春菜に内心八つ当たりしながらも、手早く着替えを終える。
「待たせたな春菜」
「遅いですよ兄様!!」
そう言って振り返った少女は、凛とは正反対の美しさではあるが、間違い無く美少女と呼んで差支えない容貌だった。和馬が通う道場の娘である凛の美しさが、鍛え上げた刀剣の美しさならば、春菜の美しさは、野の花のような美しさだった。
どちらかというと同年代の中でも背が低く、歳よりも多少幼く見えるが、胸の双丘だけは、大きく成長しており、後数年もすれば、間違い無く絶世の美女に成長するだろう。
もっとも幼い頃から同じ家で成長した和馬にとっては、ブラコン気味で多少口煩いけれど、世話焼きで可愛い妹である。

「全く!!兄様は本当に動作の一つ一つがノロノロしてるんですから!!お父様にあれほど早く呼んで来いって命じられたのに!!」
「何!?父上が呼んでるのか?」
「そうですよ・・・良く分かりませんが、家にお客さまが来られていて・・・相当あせっておいででしたよ」
春菜の言葉に、和馬は少しだけ焦りを感じる。
(まいったな・・・父上の呼び出しだったなんて・・・)
和馬の父である源馬は、和馬とは親子というよりも、祖父と孫というほど歳が離れているが、如何にも古武士といった風貌の持ち主で、老いてから結婚した若い後妻との間に授かった、和馬と春菜を甘やかしてはいけないと、厳しく躾けている。

(まあ仕方ない・・・ジタバタしても意味無いしな・・・)
覚悟を決めた和馬は、屋敷の門を潜ると、客間へと急ぐ。
「失礼します!!」
和馬が部屋の障子を開け中に入ると、其処には父である源馬ともう一人の客人の姿が有った。
「遅くなって申し訳ございません父上・・・ただ今帰りました」
そう言って挨拶をする和馬を源馬は無言で見つめている。
「ほお・・・これはこれは・・・成程父君に良く似ておられる」
(?・・・)
客人の言葉に和馬は少しだけ不審に思った。和馬と父である源馬は余り似ておらず。如何にも男性的な父源馬に比べて、和馬はどちらかというと色白で女性的な容貌をしており、その事が和馬にとってコンプレックスに成っている程なのだ。

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