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今日からお殿様!?
官能リレー小説 - 時代物

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今日からお殿様!? 4

和馬は牧村の言葉に半信半疑のようだ。
「はい!その点はご心配無く・・・まず瑞鷹丸の代艦建造に付いてですが、幕府高官の方々も、蝦夷地や北方領土の防衛の為には、大船が不可欠で有る事は分かっております。幕府が当藩に北方の防衛を命じている以上瑞鷹丸の代艦建造は、幕府にとっても必要な事なのです・・・ただ幕府にしてみれば、建造するにしても、出来れば自分の腹は痛めたく無いと言うのが本音です・・・」
牧村はそこで言葉を切る。

「それで?」
和馬は急かすように先を促す。
「そこで将軍様の妹姫を娶るのです・・・幕府にとってみれば、我々外様は仮想敵国の様なもの・・・しかし、将軍家の姫君を殿が娶れば、殿は将軍の妹婿・・・老中達も将軍の手前邪険には出来ません・・・言い方は悪いのですが、姫の持参金の代わりに、瑞鷹丸の代艦建造の資金を幕府より借り受けるのです」
「なるほど・・・だが、肝心の姫君が本当に私の下に嫁いでくれるのか?」
「はい!むろんです!!・・・お忘れですか殿・・・先代重和公の御正室は、先々代の将軍の妹君・・・列記とした将軍家の姫君にございます!!」

「!!・・・そういえば・・・」
確かに先代の正室であり、和馬の形式上の義母は、将軍家から嫁いで来たのだった。義母とは江戸でも中屋敷と下屋敷に分かれて生活している為、一度も顔を合わせた事が無く、和馬も彼女の存在をスッカリ忘れていたのだ。
「幕府にすれば、御台様と重和公とのご結婚は、幕府と我が藩の絆を強める為の物でした・・・しかし、お二人にお子が生まれる事無く重和公が身罷(みまか)われた今。幕府にとっても、我が藩との絆をもう一度結び直したいと思っているのです・・・だからこそ内内の話とは言え、将軍の妹を嫁にと言って来たと思われます」
「なるほど・・・」
「また御台様にもこの件ではご協力いただいており、将軍様も乗り気との事・・・殿!!我が藩の未来の為ご決断を!!」
勿論和馬の答えは分かり切っていた。

「ああ分かった話を進めてくれ」
為政者は常に自分の事では無く、自分に従う臣下や民の事を考えなくてはならないとする、義父源馬の教えは、和馬の血肉と成っており。
彼にとってそれが藩にとって最善の道ならば、例えそれが自分の結婚に関係する事でも、躊躇する理由は無かった。
「はは!!ではスグに話を進めさせていただきます!!」
そう言うと牧村は、婚姻の根回しの為、急ぎ部屋を去って行った。

江戸幕府と秋吉田藩の双方の利害が一致した為、この婚姻はトントン拍子に進んで行き、僅か一ヶ月と言う異例の速さで、将軍家からの姫君が、和馬の下に嫁いで来た。

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