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今日からお殿様!?
官能リレー小説 - 時代物

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今日からお殿様!? 13

「わかった。それじゃ三人で行こう」
 和馬は頷いた。
 例えこの少女の素性が何者であっても今は藁にでもすがりたい気持ちだ。
 三人は夜明け前にこっそりと藩邸を抜け出した。

くノ一の少女が案内した場所には、一人の男が待っていた。
「・・・ようやく来たか・・・成程・・・少なくとも腰抜けじゃあ無いようだな・・・」
その男は如何にも庶民といった薄汚れた服を着ていたが、何処か育ちの良さを滲ませている。
まるで役者のような美しい容貌に遂見落とされそうに成るが、長年凛の祖父が経営する剣道場で鍛え上げた和馬には、男の全身が鍛え上げられており、相当の使い手である事が分かった。
「彼女を使って僕を呼び出したのは、お前か?・・・紫月は何所に居る?お前は一体何者なんだ?」
「ククク・・・俺か?俺の事はそう・・・『遊び人の竜』とでも呼んでくれ・・・あんたの嫁さんは、ある屋敷に監禁されている。俺が今から助けに行くんだが、何なら連れて行ってやろうと思ってな・・・まあ怖いんなら別にとっとと尻尾を巻いて帰っても良いがね・・・どうするよ坊や?」
そう言うと『遊び人の竜』と名乗った男は、和馬を小馬鹿にしたような、それでいてどこか彼を試すような楽しげな笑みを浮かべる。
「もちろん行くさ!!紫月姫は僕の妻だぞ!!彼女を救い出すのに僕が行かないでどうする!!」
和馬は竜の問いに当然のようにそう答える。
「・・・フン!!・・・まあいい・・・認めてやるよ・・・来な!!コッチだ!!」
竜は先ほどの小馬鹿にした笑みとは違う、少しだけ嬉しそうな笑みを浮かべると、夜の道を歩き始める。


「安心しろよ・・・俺の手下に俺たちが屋敷に踏み込んで、ある程度時間が経っても帰って来なかった時は、奉行所に通報しろと連絡してあるからよ・・・」
「?・・・何故初めから通報しないんだ?」
「まあ色々有ってな・・・それに紫月姫を浚った奴らは、かなり厄介な奴等のようだからな・・・下手に人数を動かすと、人質を殺してサッサと逃げかねん・・・出来れば囚われてる奴らを解放するまでは、静かに動きたいのさ・・・」

和馬は竜の言動に何処か不審な物を感じたが、和馬も出来れば、事件を秘密裏に収めたかったので、竜の方針は、好都合だったし。紫月が誘拐された事が、表沙汰に成ると、秋吉田藩に取っても、厄介な事に成るので(最悪秋吉田藩御取り潰し)あえてそれ以上追及しなかった。
(紫月姫、待っていてくれ・・・今助けに行くからね・・・)
和馬はそう胸に誓うと、竜の背中を追って歩き始めた。

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