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今日からお殿様!?
官能リレー小説 - 時代物

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今日からお殿様!? 11

紫月が目覚めると其処は、見知らぬ場所だった。しかもその部屋は牢屋に成っており、何人もの女性たちが、監禁されていた。
「目が覚めたのかい?」
紫月が戸惑っていると囚われていた一人の女が、心配そうに近寄って来た。
「こ・・・ここは一体?」
「可哀想に・・・あんたも彼奴らに誘拐されて来たんだね・・・」
女は憐れみを込めた目で紫月を見る。
「!?ゆ・・・誘拐?!」
「そうだよ・・・奴らは人買いの一味らしい・・・何でも国中から誘拐した女を、海外に高値で売り飛ばしてるみたいだ・・・」
「そ!!そんな!!」
女の言葉に紫月は動揺し、勝手に屋敷を抜け出して来た事を深く後悔した。
(ああ・・・和馬様・・・紫月をお守り下さい・・・)
紫月が咄嗟に助けを求めたのは、何故か死んだ父や母では無く、可愛がってくれた乳母や姉たちでも、まして今は父の後を継ぎ、征夷大将軍というこの国最高の権力の座に就いている、誰よりも頼もしい兄でも無かった。
彼女が心に描いたのは、たかが数日前に政略結婚の為に始めて会ったバカリの彼女の夫だった。



和馬たちが、正午に成ってようやく藩邸に帰って来ると、屋敷は上へ下への大騒ぎに成っていた。
「な!!・・・どうしたんだ?」
「あ!!殿!!良かった!!お戻りに成ったのですね!!・・・ご家老様がお呼びです!!スグにお向かい下さい!!・・・さあ!!早く!!」
和馬の顔を見た家臣たちは、口々にそう言うと和馬を急かせる。同時に何故か彼らの視線や口調には、和馬を憐れむような雰囲気が混じっていた。
「おお和馬様!!一大事に御座います!!」
和馬が謁見の間に入ると、家老の牧村を初めてした、秋吉田藩江戸屋敷に務める主だった家臣が勢ぞろいしていた。
「な!!何だ?・・・何が有ったと言うのだ!!」
彼らの真剣な表情に和馬も何事かと慌てる。
「はい・・・実は昨夜遅く・・・紫月姫様が失踪されまして・・・」
「な!!何だと!!もしや誘拐か!!」
妻が失踪したと聞かされた和馬は、腰を抜かさんバカリに驚愕した。
「いえ・・・どうやら・・・姫様ご自身の意思で失踪なされたようです・・・恐らく此度の婚姻にご不満の余り実家にお帰りに成られたのではと・・・」
牧村は声を潜めた陰気な口調でそう言う。
牧村のその言葉にようやく和馬は、何故家臣たちが自分に対してあのような表情を浮かべたか理解した。
「ば!・・・バカな!!そんな分けが無いだろう!!紫月姫がそんな事を・・・」
和馬の反論に家老の牧村を始めとする家臣たちは、更に憐れみの表情を強くする。
「殿・・・残念ですが妻に逃げられた夫は、皆そう言うのです・・・」


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