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戦国奮闘記!!
官能リレー小説 - 時代物

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戦国奮闘記!! 16

あの日から五日後、俺と利香さんは屋敷の中庭にいる。
「はあぁぁぁッッ!!!!」
「ふッ! うん、なかなか良いじゃない善樹くん!」
気合十分な雄叫びを上げながら、俺は走りより勢い良く木刀を振り下ろす。
しかし、そんな俺の一撃を利香さんは何の苦も無く受け流す。
「くそッ! またッ」
「ふふふ、そう簡単に勝ちは上げられないわよ♪」
受け流された瞬間即時に体勢を立て直すと、向かい側ではニコニコ顔の利香さんが木刀片手に言ってきた。

事の始まりは、あの柴田香津美との試合。
なんとか勝ちを収めたものの、あれは向こうが完全に油断していた事が大きな勝因。
もし油断も何もせず来たら、俺は今この世にいないだろう。

まぐれで掴んだ勝利などで喜ぶほど俺は馬鹿じゃない。
そう思ったが吉日。利香さんに特訓相手になってほしいとお願いしたのだ。勿論、向こうは二つ返事で了承してくれた。
試合の翌日、俺と利香さんとの特訓試合は圧倒的なまでの実力差で利香さんに軍配が上がった。
利香さん曰く「道場での試合であれば間違いなく最強になれるが、実戦では足軽に毛が生えた程度」らしい。

あまりの辛口評価に俺は涙を流したのは言うまでも無い。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・ッ」
「息が上がってるのはまだまだ無駄な動きがある証拠。 そんなんじゃ、私から一本とるのは夢のまた夢よ」
俺の正面約5メートル先の場所から、利香さんは歌うように欠点を述べてくる。
開始から凡そ30分。すでにバテ気味の俺とまだまだ余裕顔の利香さん。
「・・・・まいりました」
「うん。 素直に負けを認めるのも勇気の一つ。 頑張ったね♪」
そう言って利香は善樹に微笑む。
(ああ、利香さんの笑顔はいつ見ても可愛いなぁ〜昼間の稽古だけじゃなく、夜の方の稽古もお願い出来ないかな・・・)
善樹は稽古中にも関わらずツイツイそんな不埒なことを考えてしまう。
「さあ善樹くん!立ちなさい!稽古を続け」
「ほう、精が出るな利香、善樹」
「!?明日香様また勝手に城を抜け出してきたのですか!?」
利香が稽古を再開しようとしたその時、彼らの主君である明日香が桃を片手に庭に入ってきた。
「堅いこと言わないでよ利香。どうも貴女近頃口煩くなってるぞ。昔はよく城を抜け出して一緒に遠乗りに出かけたじゃないの」
「それはあくまで明日香様がお世継ぎだった頃の話です!!今の貴女様は織田家の当主なのですよ!?供も連れずもしもの事があったら如何するのですか!?」
「そん時は親父やババア共の望み通り明日菜(あすな)が当主に成るだけよ・・・まあ、貴女には貧乏籤ひかせることに成っちゃうけど、向こうには香津美が居るからね。悪いようにはしないでしょう・・・」
「ちゃかさないで下さい!私は本当に心配して」
「フフフ・・・分ってるわよ利香。ありがとう」
そう言って明日香は利香の体を抱き締める。
その途端利香は顔を真っ赤にして何も言えなくなるのだった。
(やっぱり、明日香様には勝てないよな・・・それにしても、小雪姐さんの言っていた通り、織田家の内紛は深刻な状況みたいだな・・・)
善樹は仲良くじゃれ合う少女達のやり取りに疎外感を覚えながらも、感情ではなく理性の面でそう考察する。
今二人の会話に出てきた明日菜(あすな)という名の少女は、明日香様の妹で明日香様にとって母上である先代当主の存命中から織田家当主の地位を争ってきたライバルである。
戦乱の時代において、栄枯盛衰は押並べてトップの能力に掛かっている。その為戦国時代のこの国では、必ずしも姉が一家の当主と成れる訳ではなく、場合によっては妹の方が当主となるケースも多い。
聴いた話によれば、明日香様は昔から素行が悪く(特にアッチ方面は男女問わず盛んなようだ)家臣団の中には明日香様ではなく、うつけと呼ばれていた姉とは対象的に品行方正であり、評判の良い妹の明日菜(あすな)を当主にと言う意見も多かったそうだ。
だが、先代当主である母上の指名と、歳若いながら母の死後筆頭家老として頭角を現してきた柴田香津美の支持で、姉である明日香様が先代の死後当主に成られたそうだ。

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