それにしても男が生まれにくくなったこの世界で、あれだけ男が集まっていた事が珍しい。
雲の中へ登っていく金色のきらめきを見上げていた多くの人々は天変地異の前触れかと恐れたが、雲の彼方へと消え去った後は何事も起こらなかった。
「何でしょうか?あれは…」
「かなり西の方だな。伊勢か、あるいは大和か…誰か邪法でも使ったのかもしれんな。調べさせよう」
善樹と明日香も、この金色のきらめきを見上げていた。といっても彼らからすれば、濃尾三川どころか鈴鹿の山の向こうと思える遠くで起きた出来事である。
すぐに滝川一美ら数名を呼ぶと、調べておくよう命じた。
「さて善樹、梨香、少し稽古よ」
「「はっ!」」
妙な不安を振り払うには、一心に体を動かすのがいい。
そう考えての明日香の気遣いでもあった。
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