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忍者の隠れ里
官能リレー小説 - 時代物

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忍者の隠れ里 10


山中の道は川沿いの道とは異なり、険しく、罠も少し多目にあった。
「でも川沿いを行くよりはマシか…よっと!」
木の上から落ちて来た丸太をかわしながら言う亮鬼。
華林と千鳥も同じくかわす。
一美など楽々かわしている。
「ギャッ!!?」
しかし成美だけはかわしきれず、丸太に衝突した。
「おいおい、大丈夫か?成美ぃ…」
「うぅ〜痛いですぅ…」
成美は五人の中では一番どんくさく、さっきから良く罠にかかっていた。
今のように他の四人がかわせた物に当たる事もあれば、四人が気付きもしなかった罠に一人だけかかる事もある。
罠は今の所、小さな丸太や石ころが飛んで来る物、綱で逆さ吊りにされる物、網に絡まれる物など、大ケガにつながるような物は無い。
だが中には楓がやられたように流血となる物もあるのだろう。
そういう意味では成美はある意味で運が良いと言えた。
「ねえ、本当にこの道って安全なのかな?もしかして私達、あの狼鬼って先輩に騙されたりしてないよね…?」
千鳥は怪訝そうな顔で亮鬼に言った。
「何言ってんだよ、お前もあの楓って先輩の傷を見たろう?」
「う〜ん、確かにそうか…」
その時、亮鬼は近くの木の上から人の気配を感じた。
「よお、亮鬼。何とかここまでは来られたようだな?」
「お…お前…!」
そこに居たのは出発直後に亮鬼に難癖を付けてきたあの零鬼とその妻の和羽と魅羽だった。
「お前達は確か川沿いの安全な道を進んでいたはずだろう。なぜわざわざ罠の多い山道に変えた?」
「うるさい!お前には関係無いだろう」
「悪い事は言わん。川沿いの道に戻った方が身のためだぞ?この先は本当に危ない」
その零鬼の言葉で亮鬼は理解した。
零鬼は亮鬼達を危険な川沿いの道に戻らせようと嘘を言っているのだ。
「ヘッ…残念だったな。狼鬼って先輩が教えてくれたよ。川沿いは最初は楽だが後半は危険な罠でいっぱいなんだろう?騙そうったってそうはいかないぜ」
「狼鬼が!?…チッ!あの野郎…」
それを聞いた零鬼は顔をしかめて舌打ちし、そして消えた。
「…行ったか。しかし本当に嫌な奴だな!」
「まあまあ、お兄ちゃん…でもこれでこっちの道が正しいってハッキリしたし、良いじゃない」
華林は成美の傷に傷薬を塗ってやりながら亮鬼をなだめる。
「そうだな…よし!そうと分かれば一刻も早く先を急ごう!」

そして五人は森の更に奥深い所にやって来た。
木々が鬱蒼と生い茂り、昼間だと言うのに薄暗い。
「お…お兄ちゃん…何か怖いよぉ…」
「わ…私もですぅ…」
華林と成美は亮鬼の腕にしがみついてビクビク震えている。
「おい、お前ら…くノ一が暗闇を怖がってどうすんだよ…?」
「く…くノ一だって怖い物は怖いもん!!」
その時である。
「…いる」
ずっと黙っていた一美が一言つぶやいた。
「これは…っ!?」
亮鬼や他の皆もすぐに分かった。
大勢の気配を感じる。
十人か二十人…いや五十人…ひょっとしたら百人以上かも知れない。
取り囲まれている。
「誰だ!?隠れてないで出て来い!」
それは徐々に包囲の輪を縮めて来て、ついに姿を現した。
「オォ…男ォ…チ○ポォ…」
それは何と数十人の裸の女達だった。
「こいつらは…!?」
「…淫雌(みだらめ)」
「う…嘘でしょう!?ただの迷信だと思ってた…!!」

淫雌…それは十三の歳で受ける試験で夫に見捨てられ、山に捨てられた哀れな娘達の成れの果てである。
通常、山に捨てられた娘は衰弱して死ぬまで自慰を続けるが、中には生命力が強く、生き延びる者もいる。
だが、解毒作用のある精液を膣内に受けていない彼女達は、強力な媚薬の影響で人格が崩壊し、人としての知性も失い、ただ快楽だけを求めてさ迷う雌獣と化して山中をさ迷っているのだという。
亮鬼も皆も、そんな話は迷信だと思っていた…。
だが、まさか実在していたとは…しかもこんなに多く。
「チ○ポォ…」
「オチ○ポォ…」
「オォ…」
迫り来る美しき娘達。
だが、その目は人の目ではなく獣の目だった。
淫雌は前後左右に隙間無くおり、逃げ道は無い。
「くそ!こうなったら血路を開いて逃げるしか無いな!!」
亮鬼は腰に差した忍刀を抜いて淫雌達に向かって構えた。
「だ…だめぇ〜!!」
ところが、華林が腕にしがみついて止めようとする。
「何するんだ華林!?は…離せ!」
「お兄ちゃん!あの人達は元は私達の村のお姉さん達なんだよ!?絶対に斬っちゃダメぇ!!」
「そ…そんな事言っても…!!」
向こうは亮鬼達の事など覚えていないだろう。
その時、何を思ったのか、千鳥が一人の淫雌に向かって駆け寄って行った。
「ね…姉ちゃん…!!」
何と、その淫雌は数年前に試験を受けたが見捨てられて死んだはずの千鳥の姉、千歳だった。

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