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忍者の隠れ里
官能リレー小説 - 時代物

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忍者の隠れ里 9


「どうやら当たりだったようだな…」
「良かったね、お兄ちゃん」
亮鬼の思った通り、川沿いの道は罠も少なく、楽な道のりだった。
このまま行けば無事に、しかも割と早く終点までたどり着けそうだ。
皆がそう思っていた時である。
「お〜い!」
ちょうど中腹あたりまで来た所で、亮鬼達の行く手に二人の人影が現れた。
忍者とくノ一だ。
「君は新入りの亮鬼君だね。僕は狼鬼、君達より一つ上の十四だ」
「…あ!わ…私は狼鬼様の妻の楓(カエデ)です…すいません」
狼鬼は人の良さそうな優男で、楓はおかっぱ頭の似合う可愛らしい美少女…だが人見知りでもする質なのか妙におどおどした気弱そうな娘だった。
狼鬼は言った。
「亮鬼君、悪い事は言わない。この先には行くな。ここから先、急に罠の数が増えてる。道を変えた方が良い」
「え!?ほ…本当ですか?」
「ああ、僕達も危うく罠にやられる所だった…」
そう言って狼鬼は楓の方に目をやった。
彼女は太ももに痛々しい傷を負っており、血が流れていた。
「ひ…酷い傷、大丈夫ですか!?」
それを見た華林は慌てて楓に駆け寄り、懐から携帯用の傷薬と包帯を取り出して手当てしてやった。
「あぁ…!そ…そんな…私は大丈夫ですから…すいません、すいません…」
その様子を見ながら狼鬼は眉間にシワを寄せて言った。
「…酷いもんだろう?彼女も罠にやられたんだ。どうせ鍛練だと思って油断していたけど、もう少しで重傷を負う所だった…」
どうやら本当にこの先は危ないようだ。
「僕らはここから道を変えて山中を行こうと思うが、君達はどうする?」
「そうだな…俺達も山中を進む事にしようか?」
亮鬼は千鳥達の方を振り返って尋ねた。
「そうだね。危険な道は避けた方が良い」
「私もそう思います」
千鳥と成美は亮鬼の案に賛成した。
ところが…
「…私は行かない」
なぜか一人だけ反対する一美。
「一美ぃ…お前なぁ…」
亮鬼は溜め息混じりに一美を諭した。
「何でわざわざ罠の多い道を行きたがるんだよ?いや、確かにお前の実力なら罠なんて軽くかわせるだろうし、逆に多少は罠があった方が面白いと思うかも知れない…でもな、お前以外はお前みたいな天才じゃないんだ。俺達の事も考えてくれよ」
「…分かった」
一美はコクリとうなずく。
「ふふ…ありがとうよ」
その仕草が妙に可愛くて亮鬼は一美の頭を撫でてやった。

「ふぅ…出来た!」
そんな事をしている間に華林は楓の手当てを終えた。
「こんなにしていただいて…本当にすいません、すいません…」
必要以上にペコペコと頭を下げる楓に華林は言った。
「良いんですよ。困った時はお互い様です。同じ忍の道を学ぶ仲間じゃないですか。それと、相手に感謝を伝える時は『すいません』より『ありがとう』の方が良いですよ…て、ちょっと差し出がましかったかなぁ…エヘヘ」
「何が『ちょっと』だよ。先輩にそんな助言しないだろ普通…」
華林にツッコむ亮鬼。
しかし楓はちょっと考えているようで、やがて顔を上げて華林に言った。
「あの…すいませ…いえ、あ…ありがとうございました…」
「いいえ、どういたしまして」
「僕からも礼を言うよ。楓の傷を手当てしてくれてありがとう。それじゃあ僕らはこれで…。お互い無事に山頂で会おう!」
そして狼鬼と楓は五人の前から消え去った。

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