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忍者の隠れ里
官能リレー小説 - 時代物

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忍者の隠れ里 8

「ではこれより鍛練を行います。今日は夫婦ごとに別れての競走をしてもらいます。この広場が始点(スタート)、そしてあの山の頂上が終点(ゴール)です」
そう言うと美夏は村から一番近い山の頂上を指差した。
一番近いと言っても頂上まではかなりの距離がある。
まともに走っても辿り着くのは夕刻となろう。
「もちろん途中には様々な妨害のための罠が仕掛けられていますから油断してはなりませんよ?」
競走というよりはサバイバルに近いかも知れない。
皆は何となくウキウキした気分だった。
しかし、美夏の次の言葉に凍り付く事となる。
「あ、そうそう。言い忘れましたが最下位の夫婦は“種断ち”と“孕み腹”になってもらいますから、鍛錬とはいえ気を抜かずに本気で取り組むように!」
“種断ち”と“孕み腹”とは忍者としての素質が無いと判断された者達がなる最下層の奴隷的存在である。
男は“種断ち”として文字通り去勢されて奴隷身分に落とされ、村内の汚れ仕事や、酷い場合には危険な任務の囮として使われる。
女は更に悲惨で、子供を産むためだけの“孕み腹”と呼ばれる存在になる。
薄暗い地下牢に閉じ込められて手足を拘束され、肉便器として村の男達に犯され、誰の子かも分からぬ赤ん坊を産むのである。
拘束された手足は一、二年もすれば腐り落ちるため、孕み腹は達磨(だるま)が多い。
まだ手足の生えている者は新入りという事で頻繁に犯される。
このような暮らしぶりのためか孕み腹は非常に短命であり、だいたい二十歳かその前に死ぬ。
だがその間に平均して五、六人の子を産み、産まれた子は村の共有の子供として育てられ、十三になるとあの試験を受け、その後の人生が決められるのである。

「…では始め!!」
美夏の号令と共に一斉に走り出す見習い忍者達。
終点までの順路は特に告げられていない。
好きな道を通って良いようだ。
「一番の近道は山中を通り抜けて行く道だろうな…」
「でも当然そういう道は罠も多いと思うよ?」
「味方に待ち伏せされてもたまんないしなぁ…」
「私たち無事に終点まで辿り着けるんでしょうか?もし辿り着けなかったり最下位だったりしたら…」
「…孕み腹」
「おいおい、お前ら!まだ競走は始まったばかりなんだぜ?今すべき事は悩む事じゃなくて、とにかく行動する事だ!」
皆の思考が負の方向に向かい始めたのに気付いた亮鬼は皆を励ました。
そこへ…
「おい!お前、亮鬼とか言ったな…」
「は?そうだけど…アンタは?」
声をかけられて振り向くと、そこには一人の忍者と二人のくノ一が立っていた。
「俺の名は零鬼、歳は十五だ。この二人は和羽(かずは)と魅羽(みう)、俺の妻だ。亮鬼、お前の噂は聞いた。妻候補全員を救ったというのは嘘ではないようだな」
零鬼は亮鬼をジッと睨み付けて言った。
「だが調子に乗るなよ。忍者としての修行は今までのように生易しい物じゃない。中途半端な覚悟なら来るな。足手まといだ。案外、種断ちになった方が長生き出来るかも知れんぞ?」
「うるせえ!アンタにそんな事を言われる筋合いは無え!先輩だからって新入りを見下してると痛い目を見るぜ!?」
負けじと言い返す亮鬼に零鬼はニヤリと笑って言った。
「ほう…それは楽しみだな。せいぜい楽しませてもらおうじゃないか」
そして次の瞬間、いきなり煙が上がったかと思うと煙と共に姿を消していた。
「フンッ!感じの悪い野郎だな」
「気にしない方が良いよ、お兄ちゃん。それより私達は私達で頑張ろう?」
「そうだな華林…よし、みんな行こう!俺はとりあえず山中を進もうと思う。ただし道沿いじゃなくて川に沿ってだ。それが一番安全そうだからな」
「うん!」
「確かにそうだね」
「私も賛成です」
「…異議無し」
こうして五人は川沿いに山頂を目指しだしたのである。

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