ショタなペット【第二部】 42
「あ〜面白かった。」
一番堪能したのは風花の様である。
「さて…次は何処へ行くの?」
「予定では、もうすぐ演劇部のロミオとジュリエットが始まるわ。体育館に行きましょう。」
「わぁ楽しみね。」
と言ったのは美雪である。
「あら、お義母様。そうですか?良かったです。」
優花はすっかり「お義母様」と言う呼び方を定着させようとするが、そのたびに風花が不機嫌そうな顔をする。
「あの……優花ちゃん、風花ちゃんにちょっと気を遣ってあげてね。」
そっと美雪は優花に注意を促がした。
「あ……はい…」
「ジュリエット!」
「あぁ……ロミオ…ロミオ貴方は如何してロミオなの?」
「ジュリエット外に出てきてくれないか?」
「ロミオ…愛してる…でも…でもそれは出来ないのよ……」
「何故だい?」
「だって……」
「如何してなんだ?」
「だって…外は寒いんだもの……」
どって〜ん!!
まさかのギャグオチだった。
どっと笑いが起きた。
「あ、私実行委員だからそろそろ行くわね。じゃあ楽しんでね。」
優花は席をたった。
「じゃあ行きましょうか。」
香奈も立ち上がった。
(ふふ、これで邪魔者が一人減ったわ……)
風花は心の中でガッツポーズを決めた。
「じゃあ……ちょっと何か食べませんか?」
と美雪が言ったので屋外の露店を巡る。
「美雪ちゃん、如何する?」
「じゃあここは卒業生の風花ちゃんに決めてもらいましょうか?」
「え?え〜と……じゃがバターにしましょう。」
聖エルフェディア学園の学園祭における露天の多くは、部活が部費を稼ぐために行っているものが多い。
「じゃがバターは……あら?」
「百合宮先輩?」
「え?」
「覚えてませんか?」
「あ、もしかして貴女、京極さん?」
「やっぱり百合宮先輩でしたか。」
京極美也子、風花の2歳年下の特に可愛がっていた後輩である。
「そっか……」
「先輩、今私管弦楽クラブで会長ですよ。」
「出世したわね。……っと4個頂戴。」
風花は話し込んでいてはまずいと注文をする。
「はい、1200円です。…と言いたいところですけど、先輩は特別割引、一個250円で良いですよ。」
とVサインを作る美也子。
「ありがと。ジャスト1000円ね。」
「何味にします?」
「え?」
「プレーンの他に、バター醤油、バターわさび醤油、バターコーンがありますけど?」
「じゃあそれぞれ一個ずつにするわ。」
「はい。かしこまりました。暫しお待ちを。」
とその奥から美帆、亜衣が和己の姿を確認し、にやりとしたのを誰も気付いていなかった。