ショタなペット【第二部】 30
和己は着替え終えると荷物を整理し、優花の待つロビーに向かった。
「優花さん…じゃなかった、お姉ちゃん、着替え終えました。」
「うん。…あのさ…『お姉ちゃん』に敬語は使わないでしょ?」
「あ…」
「少しずつで良いけどね。」
優花はそう言って微笑むと、
「さあ、朝ごはん食べに行きましょう。」
と食堂へ向かった。食事は宿泊料に含まれているのだ。
「お早うございます。お客様、昨晩は良くお眠りになられましたか?」
既に準備をしていたホテルマンが挨拶をする。
「ええ。ありがと。」
優花はそう言うと席につき
「コーヒーと紅茶、どっちが良い?」
と和己に訊く。
「ええと……ミルクコーヒーにできますか?」
「じゃあ頼んでみるわね。ボーイさん、ミルクコーヒーって出来ますか?」
「はい。お作り致します。」
「じゃあ二つお願い。」
「かしこまりました。」
ボーイは下がっていった。
それから、五分位してボーイがミルクコーヒーを持って来て和己と優花はそれを飲む。
寝起きの身体にカフェインが和己の眠気を払拭させる。
「朝食はバイキング形式だから、色々あるわよ。」
「へえ〜僕、ホテルとかで食事したこと無いから楽しみです。」
優花は朝食がバイキング形式なのを和己に伝えると、和己は楽しそうにする。
コーヒーを飲み終えた優花と和己は朝食を取りに行く。
和己はご飯とみそ汁、鮭の塩焼きに卵焼き、小松菜の煮物等の和食系で、優花はクロワッサン、ポタージュ、ハムエッグ、野菜サラダと洋食であった。
「和己君は和食なのね。」
「ご飯の方がお腹いっぱいになりやすいですから。」
和己が和食なので優花はちょっぴり寂しそうであった。
和己は珍しくマイペースに選んだのである。
「そう、私は家の朝食がパン主流だから好きなのよね。」
逆に優花はパンが好きなのを話す。
「でも…その方が高級感があって良いですよね。」
優花が一瞬寂しそうな顔をしたのを見逃さずに和己はそう言った。優花は
「気を遣わないで良いのよ。」
と言った。優花のほうが一枚上手である。
「優花さ……あ、優花お姉ちゃん、もう入れるかな?」
「ええ、そろそろ行こうか。」
優花は和己の手を握り動物園へ向かった。