いいなり女子大生 1
「いらっしゃいませー!」
大学3年のりみは近所のスーパーでバイトをしている。
長い黒髪をポニーテールに縛り、かなり小柄ではあるが下半身は少しふっくらとした体型。
見た目の可愛らしさと明るく社交的な性格から、バイト先でもりみは可愛がられていた。
「お疲れ様です!」
「今日もありがとね!お疲れ様!」
バイトが終わり、自宅に向かうりみ。
りみには同じ大学に通うひとつ歳上の彼氏がいた。
自宅に着くと、彼氏に電話を掛ける。
「バイトお疲れ様。」
「うん。就活の相談行ってきた?」
りみの彼氏は就職活動中であり、現状うまく進んではいなかった。
「いってみたけど…やっぱり難しいなー。希望してた所はほとんどダメで、周りもみんな内定もらってて。今度受ける所がダメだったら…どうしようかな…。」
「焦る気持ちもわかるけど…まだ1年近くあるし、頑張ろ!あたしも協力できる事は何でもするから!」
「ありがとう。バイトで疲れてるのに、いつもごめんな。」
就職活動に苦戦する彼氏の相談に乗る事がりみの日課になっていた。
しかし、りみは自分に出来る事はなんでもしてあげたいという思いが強く、相談に乗る事が唯一自分に出来る事だと考えていた。
「そんな事いいからー!じゃあ、明日も学校でね。おやすみ。」
次の日。
学校終わりにりみはスーパーでバイトをしている。
(お、今日もあの子いるな。可愛いなー。)
40代独身の男は仕事終わりに買い物に来ていた。
家から近い事もあり、毎日スーパーに通っている。
男は買い物に来るたびに、りみのことを見ていた。
「あの…すいません。醤油はどこでしたっけ?」
「いらっしゃいませ!こちらです!(またこの人か…いつも何か聞いてきて…なんか気持ち悪いな…。)」
男はりみが出勤している時は毎回話し掛けていて、りみは少し疎ましく感じていた。
「ありがとう。いつも頑張ってるね。家は近いの?」
「え…あ、ありがとうございます。ま、まぁ近いですね…。(なんでそんな事聞くんだろう…こわいな…。)」
りみは男の態度を不審に感じていた。
「そうなんだねー。もしよかったら、今度ご飯でもどうかな?」
「え…いや…すいません…ちょっとそういうのは…。(やだ…このおじさん…こわい…。)」
「ごめんごめん。変な意味はないから。バイト頑張ってね。」
男はその日から何度かりみを食事に誘うようになった。
お客さんという事もあり、あまり強くは言えず、りみは毎回やんわりと断っていた。
数日後。学校で。
「りみ、最近なんかあった?あんまり元気ないみたいだけど。」
「…ううん!何もないよ!なんだろー。風邪かなー。」
客からしつこく誘われている事で悩んでいたりみだが、就活で大変な彼氏に余計な心配を掛けたくない気持ちから何も話してはいなかった。
「大丈夫か?帰って休んだ方がよくないか?」
「大丈夫!大丈夫!それより、書類選考通ったんだよね!おめでとう!」
「ありがとう。まだ書類選考だけど、とりあえず一歩前進だな。」
「うんうん!そうだね!今日はバイト休みだから、ご飯でもいこっか?」
「体調悪いのに大丈夫か?」
「うん!大丈夫!じゃあ、講義終わったらここで待ってるね!」
その日の夜。
男はスーパーに寄ったが、りみがいない為適当な物を買って家に向かっていた。
(あの子今日は休みか…ん?)
近所の飲食店の前を通りがかると、店からりみが彼氏の腕を掴んで出てくるのが見えた。
(…彼氏いたのか…まぁ、そりゃいるか…俺の誘いは断って彼氏と…この後はホテルでも行って2人でやるのか?…クソ!…それより、あの彼氏…どっかで見たことあるような…。)
男は1人寂しく家へと帰って行った。
「今日は体調悪いのに付き合ってくれてありがとう。りみのおかげで元気出たよ!」
「いいの!元気になってくれてよかった♪これからも頑張ろ!」
「ありがとな。りみ…。」
「…ん?」
「ちゅ。」
彼氏はりみの頬に軽くキスをした。
顔を赤くするりみ。
「…じゃあ、帰ろっか。」
「…もう…恥ずかしいじゃん!w」
りみと彼氏は腕を組んで店を後にした。