ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 872
「はは…僕は別にいいよ…」
僕は香澄の天然のミルクが飲みたいわけじゃないからさ…
「飲んでほしいわけじゃないんですけど、匠さんもお仕事頑張り過ぎないでくださいね」
「うん、気をつけるよ」
「いつでも私に甘えてください。今までは私が匠さんに甘えてきてばっかりでしたから」
「あっいや…そんなこと無いよ;…」
ここでは言えないけど、香澄に甘えて好き放題しているのは僕の方だもんな;…
「そうですよ…私なんて全然匠さんの力になってあげられなくて…」
「何言ってんだよ…香澄がいるから僕は今こうして此処にいられるんだぜ…あの時香澄に会っていなかったと思うと…恐ろしいよ」
「それは、私だって同じですよ。あの時匠さんに会っていなかったら、未だに家出を繰り返していたかもしれません」
「そうだったね」
あのときの香澄は家出して東京に来てたんだもんなぁ。
「この子たちには私たちの真似はしてもらいたくないかな」
「ちゃんと育てないとな」
「ベビーシッターさんなんかもいるんですけど、できる限りは私がやらないとですね」
「ああ、あまり贅沢をさせるつもりは無いんだ…この子たちは青山家の子供じゃなくて、柏原家の子供として育てていきたいと思っているんだけど…」
香澄の顔色を見ながら、ちょっと強気に言う…
「柏原家の子供って…葵さんや栞さん…それに梓ちゃんみたいにってことですよね?…」
「あっ、そこに僕も含まれるんだけど…」
「もちろん匠さんもですけど、この子達は女の子なので」
「まあ、そうだね」
「皆さんみたいに育てられたら、いいことだと思います」
「ところで、梓も妊娠してることは」
「ご本人からお聞きしました。一度お見舞いに来てくれたことがあって、お互いに頑張ろうって言い合ったんです」