ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 800
「お仕事とプライベートでは違いますよぉ」
「あのねぇ…」
くすりと微笑む葉月ちゃん、何考えてるのかわかりません。
僕らの課のオフィスまでやってきた。
先にドアを開け、葉月ちゃんを先に通す。
「おはよーございまーす!!あっ、匠さんに葉月ちゃん!!」
元気よく挨拶して来たのは美玲ちゃんだった。
「ああ美玲ちゃん、おはよう…」
あれ以来なのでなんだか照れる…あ、弁当箱持ってくるの忘れたや;…
「ふふ:…どうでしたか夕べはぁ?…」
あ、葉月ちゃんが知っていたくらいだから、当然美玲ちゃんの耳にも入っているよね…
「うん、何やかんやで新庄…夕べ僕の家に泊まったんだよ…」
このぐらいなら言っておいた方がいいよね…
変に隠して、何やら勘繰られるとマズイからな;…
「へぇ〜、そうだったんですか〜」
いつも通りニコニコして言う美玲ちゃん。
その瞳はピュアそのもの。まぶしすぎる。
「親父にもお袋にも気に入られたみたいで…」
「そうですかぁ、なんか悪いですね〜」
…嘘は言ってはいないのだが、今はそうとしか言えない。
気に入られ過ぎてあんなことになっちゃった訳だけど…それは口が避けても言えないからね;…
「新庄って…なかなかいいヤツだと思ったぜ…」
まあこれも本当のことだ…
お袋と何があったにしろ、新庄ってほんと憎めないヤツだからね…
「はい…それはそうなんですよね…」
美玲ちゃんはそれを聞いて、困ったような笑顔を作る。
「だからこそ、心配なんですよね」
「心配?」
「はい…私の彼、押しに弱いタイプだから…」
…ああ、まさにそうだ。
あのときの新庄は、まさしく、お袋に押される感じで関係を持ってしまっていた…