ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 749
「どう?…穿き心地は…」
ニコニコとした顔で沙織ちゃんが覗き込んでくる…
おいおい;…
パンツ姿を見られるのも、僕の仕事のうちだと割り切らなくちゃいけないのは分かってはいるけど、出社そうそうに僕はなんで女の子の前でこんな姿を晒しているんだか;…
冷静に考えると、かなり恥ずかしいことだ;…
「う、うん…かなりフィットするね。穿くたびにますます進化してるような気がするけど…」
「そりゃそうですよ〜、この業界は常に先をいかなければならないんですからぁ」
…そうでしたっけ?
「とにかく、これが商品化されるかも、匠さんの手にかかっているというわけなんです!」
力強く言う気持ちはわかるけど、僕にプレッシャーかけるのはやめて欲しいな…
「やだぁ早速穿いて貰ってるのぉ〜?」
美玲ちゃんが出社してきた。
「うん、なかなか似合ってるんじゃない〜」
美玲ちゃんの後ろから美月ちゃんが顔を出す。
やばい三人が集まったもんだよ;
「写メとるからぁ〜匠さん上も脱いじゃってくださいよぉ〜」
やっぱりな;…
これからプレッシャーのかかる仕事だというのに、何故朝っぱらから裸になって写メ撮られているんでしょうかねぇ…
「では、匠さんのご健闘をお祈りしております!」
スーツを着なおして行く際に美玲ちゃんがそう声を上げる。
「う、うん…」
「もし上手く行ったときは、2人で、食事でも…」
その言葉は、周りには聞こえないよう、囁くように。
いつもは何憚ることも無い美玲ちゃんにしては珍しいことだ…
「あ、ああ…そう出来ればいいんだけど…」
僕まで沙織ちゃんや美月ちゃんに聞こえないように小声で答える…
「匠さんなら大丈夫ですよ…それじゃあ今晩、空けておいて下さいよぉ…」
えっ?…それって今晩の話しだったの?