ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 691
佐織さんのことは、これ以上話題に上げない方がよさそうだよな、
「その花木って奴は、梓の塾の教師なんだろ?…」
「そう、梓にとってはアニキみたいな存在みたいで、啓くんのこと…いろいろ相談していたみたいなのよね… 」
「なんだよアニキって…本当の兄貴は側にいるじゃないか…!
「匠兄ぃには心配かけたく無かったんじゃないかな?…それに匠兄ぃと啓くんは仲良くなり過ぎたから…」
「仲良くなり過ぎたってどういうことだよ…」
…別にそっちの意味ではないだろうが、なんだか気になる言い方じゃないか。
「梓は、匠兄ぃは啓くんの側にいて、自分に厳しいこと言われるんじゃないかって怖れていたんだと思う」
「そんなことはないけど…」
まあこの件を聞いた時も、真っ先に啓くんのことを気の毒に思った…
啓くんはは今までいろいろあったから、その分心配も人一倍しちゃうんだよな。
それが梓が言う“仲良くなり過ぎ”…ってことなんだろう…
「僕にとって啓くんは、もう弟みたいなもんだからな…」
「うん分かってた…匠兄ぃと啓くん見てると、男同士っていいなぁ…って思っちゃうもん。」
…それってどういう意味で言ってるんですかねぇ。
「でも、梓、さっきはそんな風には見せなかったけど…」
「まあ、頑張ったんだな…梓なりに」
「梓の決意、匠兄ぃも受け止めたんだね」
「まあ、そのつもりさ」
梓は香澄に感化されたところもあるだろうけどね。
「よかったぁ…匠兄ぃに許して貰えて、梓も肩の荷が下りたんじゃないかな…」
「おい…僕ってそんな存在なのかよ?…」
何時も友達みたいな兄妹…どちらかというと僕の方が妹達には馬鹿にされている…
そんな中の梓が、僕を一目置いていたなんて、なんだか意外だった。