ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 689
まあこれなら僕も、たまには嵌めを外しても怒られないかもしれないよね…
早くもさっきの決意が揺らぎはじめる;…
考えてみると、いきなりガンジガラメの生活なんて、僕には到底無理そうではあるからなぁ;
まあ流れに任せて、徐々に他の子との“お痛”は、減らしていけばいいはなしだよね…
…僕は大丈夫だけど、香澄は即日退院というわけには当然行かない。
純ちゃんと病室を出て、今日は帰ることにする。
別れ際もまた2人はキスしてハグしてましたけどね…
家に帰ると2人の妹、葵と栞も帰宅していた。
「匠兄ぃおめでと、香澄ちゃん、元気な赤ちゃん生まれたんだね」
「ああ、ありがとう」
「早く赤ちゃん見たいな…」
「ああ…それよりもお前ら…梓のこと知っているんだってな…?」
一息着いてから聞こうとは思っていたけど、親父やお袋の帰ってくる前にちゃんと聞いておきたかった。
「なんだ梓…やっと匠兄ぃには告ったんだ…」
「おい!やっとって…葵も栞もそんな前から知ってたのかよ?!…」
「まあ、匠兄ぃ、落ち着いてよ」
「こういうことってのは、歳が近い女が一番話しやすいのよ」
「そりゃそうだけどな…」
僕だって梓のことは心配だから早めに言って欲しかったよ…
「啓くんには気の毒だけどね」
「梓、啓くんに話したって言ってた?」
「自分がきちんと話す、とは言ってたけど…」
「それじゃあ昨日来た時は、啓くんは何も知らずに来たって訳だよな?」
それを思うと気の毒過ぎるよな…
「梓は啓くんも含め、昨晩皆に話すつもりだったのよ…なのに…」
「なのに弥生さんや椿ちゃんが遊びに来て、それどころではなくなったってことか?…」
「ええ、朝は朝で香澄ちゃんがあんなことになっちゃったじゃない…」
まあ香澄のことは置いといてとしても、昨晩の僕は自分のことでいっぱいいっぱいで、梓のことなんて考えてあげられる余裕なんて無かったからな…