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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 659

集中治療室のランプが煌々と灯っていた。
その光景を見て、僕はこれが現実だとやっと認識したような気がした…

考えてみたら、自分のゴタゴタで随分と香澄に無理をさせてきたことを、今さらながに反省してしまう…
「香澄に何かあったら、僕…どうしよう…」

「匠がそんな弱音吐いてどうすんの!『大丈夫!』そう信じなくちゃダメよ!」
お袋が僕の背中を優しく撫でてくれる。

「匠くんが傍にいてくれてよかったんじゃないかな…どうしても、一人で頑張っちゃうところがあるから」
「香澄がですか?」
「それもあるけど…私も妊娠してるのにいつもどおり仕事をやろうって思っちゃって、無理して、結果倒れて…」
弥生さんは扉の向こうを心配そうに見つめた。

「大丈夫。絶対大丈夫よ」
お袋がそんな弥生さんの手を握った。

どのくらい時間が経ったのだろう…病院からは軽く説明があっただけで、その後の状況は分からなかった…
それだけ緊迫した状態ということなのか?…

「僕ちょっと聞いてくるよ…」
僕はお袋と弥生さんを残し、ナースセンターに向かう…

「あら?鈴田くん…?」
廊下で声を掛けてきた女性は、意外そうな瞳で僕を見詰めていた。

??
自分の名前を呼ばれたわけじゃないのに反応してしまうのはちょっと辛い。
でも、鈴田巧はまったくの他人でもないから…

「ええと、違うんです…」
「でも、そっくりだよ、君」
…どう説明すればいいのだろう、他に誰もいないし。

「そのことは後で必ず説明しますから、その前に集中治療室にいる妻の様子を知りたいのですが…」
僕の言葉に、その看護士の女性は少し驚いたように目を見開いた。

「貴方、あの患者さんのご主人なの?…」
「はい!お腹の子供たちの父親です!」

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