ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 597
「話しは途中になってしまったが…」
「あ、すみません;…鈴田コーポレーションの話しでしたよね…」
「ああ、鈴田コーポレーション社長の鈴田美恵子さん…」
「和彦さんとは同じ高校だったんですよね?…」
「操さんから聞いたのか?…」
「いえ、お袋とはまだこの話しはしてはいないんです…」
「和彦さんこそ、何か聞いたことや知ってることは…」
「それが、僕もまったく…申し訳ないな…」
「いえ…」
こちらに気づいたスタッフの方がやってきて注文を取る。
とりあえず和彦さんと同じものを頼んでみた。
「同い年だけならまだしも、顔までそっくりだったら、何事かと思うよなぁ…」
「はい…こんなに身近なところに存在していると、他人の空似では済まないように思えてしまって…」
「澪が言うには、瓜二つだとか…?」
「彩乃さんや新しく入ったエリカちゃんも驚いていました…」
違いを確認する為、アソコを見られたってことは…言う必要ないよな;
「エリカ?…ああ涼香が連絡よこしてきた、新しいメイドだね。」
「あ、はい…、そう言えば、和彦さんは涼香と連絡取っているんですか?」
「連絡を取っているというか、アイツのほうから一方的に話をしてくるようなもんだけどね」
なんだか涼香さんらしい感じだ。
「エリカはその彼と会ったことがあるというのかい?」
「ええ、エリカちゃんはもともと鈴田家で暮らしていたんです…ご両親が住み込みで働いていたので」
「そうなのか…」
「何でも先代の社長さんと上手くいかなくなって、一家で鈴田家を出て行ったとか…」
「ああ…あの人のワンマンぶりはよく聞くことだ…」
「そんなに大変な人なんですか?…」
「特に青山家には特別な対抗意識を持っていてな…仕事で手を組むことが今まで出来無かったのも、そういうことなんだ…」
鈴田美恵子に代替わりしたお陰で、僕は仕事が取れたってことか…