ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 587
「ふふっ、お互いおあいこですね」
「まあ、そうなるね」
…どうしてそうなるのか深くは尋ねませんけどね。
少し歩いてトレーニングルームへ。
扉を開けると、一見普通のマシンが置かれた部屋が広がっていた。
ロビー同様な真っ白い空間に、それらのスチール色が輝いている…
鏡貼りの壁画のせいか、やたらとそこは広く見えた。
「凄いよな…そこいらのスポーツクラブなんかより、充実してるんじゃないのかな?…」
僕は今まで、スポーツクラブなんて行く金銭的余裕が無かったので、そんなことは全く知らなかったけど、それでもそこに置かれた様々な種類のマシーンを見るとそう思えた。
「何から始めようかなぁ…」
「ウォーキングマシンとか、自転車みたいなヤツとかからやってみる?」
僕も初めてなだけに、どうすればいいのか正直わからなかったりする…
…やっぱりインストラクターが必要だったかもしれないのか。
戸惑う僕を余所にウォーキングマシーンを始めるエリカちゃん…
君って考えるより先に行動に移すタイプなんだね;
僕も負けじと隣にあるウォーキングマシーンを起動させる。
「へぇ〜これって案外面白いんだな…」
始めてのそれに感激しながら、僕はエリカちゃんに言う。
「はい、楽しいですね♪」
ニコニコとこちらに向き微笑みながら、エリカちゃんは身体を動かす。
しばらくそのまま時間を費やしていると、結構汗もかくし、息も上がってくる。
普段運動していないから、自分の体力はこんなもんかな、と思ってしまう。
もっと鍛えないといけないかもしれない。
隣のエリカちゃんがマシンを止める。
僕も休憩しようかな。