ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 578
“いい汗か…”
そう言われるとそういう汗は、最近かいていないことに気付いちゃうよ;…
ベッドの上での“悪い汗”は、頻繁にかかせては貰っているんだけどね;…
「じゃあ行こうか…」
僕は“いい汗”を流すため、エリカちゃんに向かい微笑み掛けた。
「はい!」
エリカちゃんも満面の笑顔で応えてくれた。
「後ほど合流してもよろしいですかぁー」
「いいよ、萌ちゃんも一緒にね」
軽く手を振って食堂を後にした。
杏さんに教えてもらった通りに従い、長い廊下を歩く。
「匠さんは、彩乃さんや澪さんとは親しいんですか?」
「ああ実はさ…あそこでは言い難からったからなんだけどさ…」
長い廊下を真直ぐに進みながら、僕は横を歩くエリカちゃんに言う。
「彩乃さんと澪さんは、鈴田巧と親交があるみたいなんだよね。」
「…へぇ?」
予想もしていなかったのだろう…エリカちゃんは眼を見開き、その場に立ち竦んだ。
「彩乃さんや澪さんが、巧さんと、ですか」
「うん、2人と話す機会があったからね」
「そうですか…それは知らなかったです…」
なんだかしょんぼりした顔をするエリカちゃん、まさか言ってはいけないことだった…?
「うーん…でも、そうですよね…巧さんはかっこいいし、彩乃さんも澪さんも綺麗な方ですもんね…」
「あっいや、そういうことじゃないと思うよ…」
彩乃さんも澪さんも巧とセックスしているんだから、『そういうこと』ではあるんだけど;…まあそれだけって言っちゃうとそれだけではあるもんね;…
「いえ、匠さんは知らないからそんなこと言えるんですよ…巧さんは昔っから女の子にモテモテだったんです…」
それゃあ大金持ちの跡取り息子となりゃあ、同じ顔していても僕とは雲泥の差があるだろうけど;…