ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 538
ごめん;香澄…
羽目を外し過ぎたことへの罪悪感が沸き上がってくる;
「お嬢様でしたら心配いりませんは、桜ちゃんと一緒に、中でお休みになっておられますよ…」
背後に杏さんが立っていた。
流石執事を長くやっていただけあって、気配を消すのが上手ですね;
「それじゃあ、僕はどうすれば?…」
久しぶりの桜ちゃんとの時間…邪魔はしたくはなかった…
「私も2人の時間を邪魔したくはないので、匠さん、一緒に飲みませんか?」
「はあ…いいですけど…まあ、飲み過ぎない程度なら」
「私の部屋に来てください」
杏さんの部屋…どんな感じなのだろう?
興味があった。
彩乃さん同様に涼香さんについていた杏さん…
2人はただならぬ関係であったという話しも聞いていた。
まあ今の僕としてはその方が、恥をかかないで済むので有り難い…
何たって澪さんに搾り取られるだけ搾り取られたから、もうピクリともしそうに無いからね;…
「こちらです」
香澄の部屋から少し歩いたところにある扉を、杏さんが開けた。
「まあ、洒落っ気もない部屋ですが」
「そんなことないですよ」
きちんと整理された、小奇麗な空間。
若い女性らしくない、シンプルな部屋が、杏さんにはむしろ似合っていた。
「当然なんですけど、男の人を入れるの初めてなんですよ…」
恥じらうように微笑む杏さん…なんだか可愛かった。
「それは光栄だな。杏さんの隠されたプライベートを見れる、初めての男って訳かぁ!」
僕は腰に手をやり、ポーズをとって見せた。
「やだぁ匠さんったら、何も隠してなんていませんよ。」