ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 469
不味い…
ガッカリさせてしまっただろうか?
個人的なことだったらこのままでもいいのかもしれない。
しかし今は、ビジネスの席。商談の真っ最中。
これでご破談なんてことになれば、大きな魚をみすみす逃すことになる。
「あ、あの…見たい、ですか?」
様子をうかがいながら、小声で尋ねてみる。
「あ!やっぱり穿いていたんですね?」
急に瞳を輝かせる三枝さん…やっぱりアナタも…
「もちろん穿いていますとも、我が社の製品にうそ偽りはありませんから…」
もう開き直るしかないもんな;…
「それじゃあ柏原さんのこれからのプレゼン…ちゃんと見せて頂きますね…」
これからのって…今までのプレゼンは一体何だったんですかね;…
三枝さんの視線を受けながら、僕は仕方なくベルトに手を伸ばす…
「あ、この写真みたいに、上半身もちゃんと脱いでくださいね…」
「はい…」
ええ、言われなくてもそうしなきゃいけないでしょう…
緊張感は今までの比じゃない。
相手は大手の中の大手、そして若い女性社員。
しかも2人きり。
「わあ…」
三枝さんのため息が聞こえた。
「写真とは違いますよね?;…あれ、部署の子が加工してくれちゃって;…」
僕はワイシャツを畳みながら、照れ笑う…
「いいえそんなこと無いですよ。自然な感じが返って新鮮です…」
自然な感じか;…
こんなことになるんだったら、ジムにでも通っておくべきだったよ…
葉月ちゃんったら、気を使ったのかどうか知らないけど僕の体格まで修整をかけていたからな…
「いいですね、これ」
三枝さんは身を乗り出して僕が穿いているパンツを見つめる。
何がいいのだろう、僕にはちょっとわからない。
「触ってみてもいいですか?」