ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 460
だからといって『はいそうですか…実は…』と白状する訳にはいかないな;…
ここはあくまでも白を切らなくちゃいけないよね;…
「香澄…何か誤解してはいないか?、夕べはそんなんじゃ無いって…」
浮気の嘘は、絶対につき通すのが鉄則だっていうもんな…
「そうなんですか?」
香澄は笑顔のまま僕の『嘘』を聞いて尋ねる。
「香澄ちゃんそーなんだよー、匠兄ぃはお仕事も忙しいし大変なんだよー」
後ろから栞がフォローしてくれるが、なんだか棒読みくさい…
「さあ、匠さん、ご飯出来上がってますから〜」
「うん、ありがとう」
まあ栞のお陰(?)で、何とかその場をやり過ごすことが出来た。
僕は逃げるようにしてリビングに向かう‥
「あれぁ〜匠兄ぃ、昨日は外泊ぅ?〜」
おい梓;‥その話題を蒸し返すなよぉ;‥
「何言ってんだよ‥お前が思っている程、僕はモテませんって;‥」
ため息をつきながらスーツを脱ぎ、カバンを置く。
香澄がテーブルの上に夕食を出してくれた。
「きっとあれだ、深夜の2人きりの個人残業だ」
おい、葵…
「匠兄ぃの会社って女の人多いの?」
「比率は半々だけど、役員ポストに女性が多いみたいよ」
梓の問いに栞が答える。
「コラ!アンタたち!…憶測だけで香澄ちゃんが不安になるようなこと言わないの!」
おっ、流石お袋!姑の鏡だね〜
「匠!アンタだってこんな身重の彼女を置いて、遊びほうけてちゃダメじゃない!」
おっと;…お株が回ってきちまった;…
「あ、はい;…以後気をつけます…」