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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 34

まったく、手が焼けるけど可愛い娘だ。
擦り寄ってきた香澄ちゃんの頭を優しくポンポンと撫でる。
「えへへへ…」

「でも、香澄ちゃん家はすごいんだろ?なんでも手に入ったりして。それってすごく恵まれてる…」
「…最近はそうでもないんです」
急に、香澄ちゃんの声のトーンが落ちた。

「恵まれてるって思うのは、幼い頃のほんの一瞬なんです。家族、いや、一族は、いい学校に入っていい会社に就職して、そして自分たちが選んだ理想の相手と結婚して子孫を授かる…そんなことしか考えてないんです」
「でも、そういう環境が…」
「私はそんなレールに敷かれた人生なんて歩みたくないんです!!友達と買い物に行ったり、カラオケに行ったり、ゲームしたり…周りの皆と一緒に、普通の女の子でいたいんですよぅ…」

香澄ちゃんは、肩を震わせ、大粒の涙を流していた…

堪らずに身体を引き寄せ抱き締める…
仄かに立ち上る、香り甘い髪の臭い…
身体の間で乳房が潰れた…

………ドキドキドキ…………静まれ…静まれ

真剣に感情をぶつけてくれた香澄ちゃんの前で、僕は情けなくも興奮しつつある。
…おい息子…お前って、そこまで節操ないのか?…

「匠さん」
香澄ちゃんは言葉を続ける。
「匠さんと私の家庭の間には、紛れもない格差があります」
「わかってる」
「でも、私は、匠さんのご家庭が大好きになりました。明らかによそ者の私を、素直に受け入れてくれた人は、たぶん人生で初めてです」
ほう。

「他人は、私の育った環境を、私の一族の存在を、そして私を、好奇と畏怖の目で見続けてきました。私には、たった一人の友達さえいません。それでも、こんな私を、愛してくれますか…?」

「…言ったろ?」
香澄ちゃんははっとして、僕を見た。
「僕も香澄ちゃんのことを本気で愛しているんだ。それに、恋愛に格差なんて存在しない」
「た、匠さん…」

香澄ちゃんの、涙腺の堤防が決壊した。
僕の胸にすがり付いて、嗚咽を漏らす香澄ちゃん。
そんな香澄ちゃんを、頭と背中を撫でてあやしながら、ゆっくりとベッドに寝かせる。

覆いかぶさるように顔を近づけ、唇で涙を拭う。
それは汗とも愛液とも違い、優しく僕の唇を潤おした。

「好きだ…愛してる…僕が生きてきた中で、香澄ちゃん…君を1番愛してる…」
…うわぁ、こんな気障なセリフ、僕、言っちゃいました…

僕は自分の言った言葉に戸惑いながら顔を赤らめ、腰を合わさないようにと、そこを浮かせた。

「うれしい…」
香澄ちゃんが、少し掠れた声で言った。

「私も匠さんのこと、大好きです。誰よりも好きです。一番愛してます」
潤んだ瞳、少し腫れぼったい目、それでも笑顔で言ってくれた。

股間の興奮は収まるどころかさらに増し続ける。
香澄ちゃんの服を脱がしてしまいたい衝動に駆られるが、一旦留まる。

僕は、部屋のドアを開けてリビングにいる梓と啓くんの様子を窺った。

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