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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 27

まあ、若くに結婚した親父とお袋だから、バラエティー番組に取り上げられるような大家族物語りも、充分に可能なことではあったのだけど、
教師という薄給ではそれも叶わず、泣く泣く4人で打ち止めせざるおえなかったと、以前、風呂の中で親父に聞かされたことがあった。
今になってみると、それは正しい選択であったと思うけど、子供の頃の僕は、女ばかりの家の中で、ずっと弟の存在が恋しかったのだ。

名古屋から地下鉄で数駅。
実家の最寄り駅に着いた。
…聞けば、香澄ちゃんの家もここから近いらしく
「いつでも行き来できますね〜」
とほくそ笑んでいた。
…その前に君は両親と会う覚悟はできたのかい?

駅から歩いて数分。
自宅の目の前まで来た。
「ここが匠さんのお家ですか?」
「うん」
4年ぶりだか5年ぶりだか、久しぶりに帰ってきたが、そんなに変わっていない。

「小ちゃえーだろ? きっと香澄ちゃんの家に比べたら微々たるものだろうけど、この家が僕にとってのオアシスなんだ。」
「オアシス?」
「ああ、子供ん時、虐められたりとか、女の子に振られたりとか…そんな辛いことがあっても、この家はいつも暖かく向かえてくれたんだ…」
「ふぅ〜ん。匠さんが優しいのも、この家あってこそなんですねぇ…」

香澄ちゃんは相変わらず、羨望の眼差しで僕の家を見ている。
お嬢様はお嬢様で、大変なこともいっぱいあるのだろう。

…しかし、家の前で、二人して突っ立っているだけ。
僕のほうも、正直、家に帰る勇気も覚悟もなかったのだ。

!!
そのとき、家の玄関の扉が開いた。
「ん…あれ?あら〜、帰ってきたのね?」
そう言って悪戯っぽく笑う女性…
この人こそ、僕の母親・柏原操、その人である。

「お姉様?…」
僕の袖を引っ張りながら、小声の香澄ちゃんの問いも最もだった。
18で僕を産んだお袋は、遠目で見れば20代にも見える程に若かいのだ。
「僕に姉貴はいないよ。これはお袋…」

「あらぁ〜。どこのモデルさんかと思ったら、匠のお友達ぃ〜?」
…"お姉様"と言われたのが聞こえたのね?… お袋…声が裏返ってますけど…

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