ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 241
「ぜんぜん筆記できなかったから、可能性は低いと思いますよ…」
「そんなの関係無いと思うよ。今更数式が解けたところで、仕事には関係無いもの。」
「そうですか?」
「やはり面接がものを言うのよ…」
「面接だって録にしてないじゃないですか…」
「それは安心して♪柏原くんを面接したのは、私よ♪」
「そ、そうでしたね…でも…」
「何、面接の記録なんていくらでも変えることが出来る」
「それで大丈夫なんですか!」
「うちの会社で、柏原くんの人となりを一番よく知ってるのは私。君がどれだけ素晴らしい人か、わかっているんだから」
遥さんはそう言って、タオルを差し出してくれる。
「そう言ってもらえると嬉しいです…東京では本来の僕を見てくれる人なんていなかったから…」
僕はタオルで顔を拭いながら、俯き加減に言った。
「あともう一歩だね。白鳥部長に気に入られさえすれば、入社は決定する筈よ。」
僕の手からタオルを取ると、それで背を拭いてくれる。
「パンツ姿の写メだけで決まるんですか?」
されるがままに突っ立ったままで、僕は聞いた。
「そうはいかないさ。白鳥部長との面接はあると思うよ…」
部長さんと面接か…
やり手の女の人というから、緊張するなぁ…
「心配しなくていいよ。白鳥部長、柏原くんのこと気にいってると思うから」
「どうしてわかるんです?」
「資料を見せたとき、一番興味持ってたように見えた」
「そうですか…」
「こんなカッコイイパンツ穿いてると分かったら、益々気にいると思うよ…」
「そ、そうですかぁ…」
これは葵に感謝しなくちゃだな…
「入社が決まっら、お祝いしなくちゃだねぇ」
「その時にはまた…いいですか?」