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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 24

迎えのタクシーに乗り込む。

「品川駅までお願いします」
「畏まりました」
人のよさそうな中年の運転手さんが一礼する。

隣の香澄ちゃんはというと、さっきまでのイチャイチャモードから一転、妙に真剣な顔をしていた。
「匠さんは…その、自分の親のことは、好きですか?」

「…へ?僕の親父とお袋?」
「はい。匠さんのお父様とお母さま…」
「ぷっ!家はお父様とお母さまって柄じゃないよ。親父なんてステテコで外出ちゃうし、お袋なんて僕の前で屁すんだぜ!」
「ふふ。楽しそ…」
「楽しくなんかないよ…恥ずかしいだけだぜ。」
「でも…明るい家庭って感じがするな…」
「ああ、暗くはないよ。お袋は家事しながら声楽の練習してるし、なんたって親父はハゲてるからね。」
「やだぁ〜ぁ〜匠さんったらぁ〜……でもなんか…羨ましいな…」

そう言う香澄ちゃんの声と表情が、寂しく見えた。
そうか…あまりご両親のことは好きじゃないのかな。
好きだったら、家出なんてしないだろうしなぁ。

…両親のこと、まあ半ば冗談のつもりなのだ。
親父はこういうのもなんだが、結構いけてると思う…頭髪は薄くなってるのはホントだけど。
お袋も、年齢に比べたら若く見えるほうだ。

実は、僕の親父は高校教師で、お袋はその教え子だったのだ。
当時『絶世の美少女』だったお袋に親父が手を出してしまい、その結果僕が生まれたわけで。
親父は『これが若気の至りだ』と今でも語っている。

危うく親父は淫行で捕まる所だったが、お袋が親父に当時から好意を抱いていたおかげで結婚と言う形で助かり。
でも社会的制裁というか、当時勤務していた高校は解職され、教員に戻るのに結構苦労したようだ。
ふたりは今でもラブラブで俺達子供からすればある意味すごいものを見せつけられる毎日だったのかも。
妹たちは元気にしているだろうか?
外見も内面もお袋に似てるだけに変な男につかまらないかやや心配だ。

―タクシーは品川駅に着いた。
「ありがとうございました」
「お気をつけて」

新幹線の発車までまだ時間が有る。
「お弁当買いましょうか」
「さっき朝ごはん食べたばかりでしょう」
「うー、足りないんですぅ」
なんかぶーたれだした香澄ちゃん。
…アレで足りないとは、どういう胃袋してるんですか。
それでいてモデル並みの細身。羨ましいものだ。

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