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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 221

真夏にはまだ早いというのに、やはり名古屋は蒸し暑かった。
それでもこのジメっとした湿気を感じると、帰ってきたんだと、肌身に染みてそう思えた。

上着を脱ぎ、空を仰ぐ。
青い空が一面に広がり、白い雲が浮かんでいた。
「ヨッシャ!!」
僕は気合いを入れ、拳を高く振り上げた。

職場(面接地でもある)には地下鉄から一度JRに乗り換える必要がある。
午前のこの時間帯はそれなりに混んではいるが、東京で経験した押し潰されるほどの混雑ではない。
電車の中では冷房が効いていてひと時の暑さしのぎにはなる。

移動に1時間前後。
駅近くにある会社にたどり着くことができた。

リクルートスーツに身を固める若者達が、いそいそと社屋に入って行く。
親父にスーツを借りてきて、ホントよかったと胸を撫で下ろさずにはいられなかった。

それにしても、中途採用面接だというのに、こんなにも人が来ているとは予想だにしていなかった。
景気がよくなり売り手市場になったとはいえそれは東京に限ったことで、ここ地方都市ではまだまだ狭き門なのだと思い知らされる。

その列についていく形で社屋の中へと入り、諸々の手続きを済ませる。
待機所は広い会議室のようなところで、スーツ姿の男女でほとんどが埋まる気配だ。

年齢的にはやはり僕より若い子がほとんど。
たまに同年代や、少し上と思しき人も見られるが、数は少ない。

机の上のアンケートらしき紙に記入しながら、そのときまでしばし待つ。

ここで僕はちゃんと求人広告を見てこなかったことを後悔した。
お袋は軽く派遣とか期間工のようなことを言っていたけど、この面接はどう考えてもそんな甘いものではないようだった。
それに何と言っても、ここはお袋から聞かされた青山グループ系列工場などではなく、歴とした青山グループの本社だったのだ…

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