ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 200
夕食をしっかり平らげる。
やっぱりお袋の手料理は最高だ。
「お風呂沸いたわよー、誰から入る?」
「お前ら先入らないの?」
妹たちに尋ねてみる。
「んー、どっちでもいいけど」
「匠兄ぃ、なんか優しいねぇ」
「いつもこうだったじゃないか」
「えー?」
「明日雨降るんじゃないかな〜」
「じゃあ、男同士で先入っちゃってよぉ。」
いや僕は、親父と…
「それじゃお母さん、遠慮なく先に頂きますね。」
啓くん、普通一番風呂は遠慮するだろうに……てか、もう脱いでるし…
「さ、匠も後が詰まっているんだから早く入ちゃって!」
まあ仕方ないか…お袋は、妹たちに気づかれないにように、気を回したんだろうからね…
仕方なくいそいそと準備を始め、僕も啓くんの後に続き風呂へと向かう。
「啓くんはなんか部活とかやってるの?」
「一応、サッカー部です」
「へぇ…」
「そんな上手くないですからね?」
「でもサッカー部ってモテるんじゃないの?僕が高校生だったときはそんな奴ばかりだったぜ?」
「いや…」
「何照れてんだよ…女の子にモテるって悪いことじゃないぜ。」
パンツ一張の啓くんに向かい、諭すように年上ぶる…
「そういうことじゃなくて…サッカ−部といっても籍を置いてるだけで、練習にはぜんぜん…」
あ、そういうことか…
「でも脂肪なんてぜんぜん無くて、羨ましいよ…僕なんてよ…」
最近弛んできた腹を摘み、笑ってみせる。
「ネガティブになったらだめですよ、お兄さん」
「君も十年経ったらわかるさ」
2人服を脱いで風呂の中へ。
「お屋敷で一晩過ごして、どうでした?」
「あぁ、いろいろわかったことがあったよ」
「たとえば?」
「啓くん、料理人の緑川弥生さんって知ってるかい?」