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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 113

涼香さんの言葉に、耳を傾け頷く。
浮き沈みが激しく、生き残りに必死な世界に身を置いていた涼香さんのその言葉は、重く、説得力があった。

「私も昔同じことをした経験上、香澄を一方的に叱ることなんてできないんです」
涼香さんが香澄ちゃんを見る目は、優しさに溢れていた。

自由奔放に生きているようでも、やはり涼香さんも人の親なのだとつくづくと思ってしまう…

「香澄ちゃんは賢いですよ…世間知らずそうに見えていてその実は、結構いろんなことが分かっていると思います…」
「そうかもしれませんはね…
私、匠さんを見て…あの子はちゃんと男の人を見る目があったんだなって、感心しましたのよ…」

「…果たしてそうなんですかね…僕、香澄ちゃんに振り回されてばかりなような気がして」
「そんなことありませんわ。香澄が男の人と一緒で、あんな楽しそうな顔してるのは初めて見ました」
…男の人と、か
考えてみれば、香澄ちゃんは女子校通いだし、顔をあわせる男の人といえば父親の和彦さんに住み込みの啓くんとそのお父さん、それに僕と、僕の親父くらいなのか…

「香澄ちゃんは、男性恐怖症とかじゃないんですか?」
「昔は、その可能性も否定は出来ませんでしたわ…杏ちゃんがここに来る前は、執事は男の方だったのですが、彼には心を開きたがらなかったんです」

溜め息をつきながら…床の間の掛け軸を眺め、何かを懐かしむように、遠い目をする涼香さん……
そこには淡い墨で描かれた男女が、抱擁を交わしていた…

「もしかして…その執事の男の人と…涼香さんは?…」

僕の問いに涼香さんは現実に引き戻されたように驚いた表情で、眼を見開いた…


「…さすがは匠さん、人を見抜く目がありますわね」
「…そんなことはないですけど」
涼香さんが、優しく微笑みながら言った。

「…香澄が男性恐怖症なのは、おそらく遺伝ではないかと」
「えっ!涼香さんが?」
「今はそんなことはありませんが…昔は…」

涼香さんはまた遠い目をして語る。
「…私の初めては、複数の相手に無理矢理…という感じで…」

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