ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 1082
「そうねぇ…こういう機会でも無いと、沙織ちゃんと話しも出来ないものね…」
仕事以外でこの2人が口をきくのを見るのも、案外珍しいんじゃないかな…
「そうですよ…今日だって私の誘いじゃ来てくれないと思っていたんですよ…」
「そんなことないは…それに今日は匠くんの為じゃない…」
美月さんの瞳が僕を捕え、ちょっとドキッとしてしまう…
テーブルを囲むこの3人、みな僕が抱いた人だ。
ここにはいない美玲ちゃんも含め…つまり僕は同じ部署の同僚全員と身体の関係があるってことだ(上司と男はもちろん除く)。
……いまさらながらすごいことに気づいた。
「美月さんと匠さんってあまりかかわりがなかったような」
葉月ちゃんまで言いますか…
「いやそんなこと無いさ…外周りの営業なんかで…時々一緒に行くこともあるんだぜ…」
ほんとは…そんなこと1、2回しか無かったけど、ここで昨晩のことを勘繰られる訳にはいかないものね;…
「そうなんだぁ…美月さんが匠さんのこと心配して今日来たっていうのが、ちょっと意外だったから…」
確かに昨日のコトが無かったら、ここに美月さんはいないかもしれないよな;…
「同じ釜の飯を食うもの、元気ない顔してたら心配になるじゃない」
「まあ、そうですね」
「みんなにはホント感謝してますよ…ここまで親身になってくれるなんてないですよ」
「匠さんは仲間ですもん」
「一度新庄さんにもビシッと言ってやった方がいいんじゃないですか?」
…ちょっと元気が戻ってきたかな。
「ああ…そのつもりだよ…アイツとも“仲間”って言える関係に戻りたいからね…」
アイツのことを弟みたいに思っていたこともあったんだしな…
「やっぱり匠さんは優しいですね…」
「ほんと…匠さんの器の大きさを…改めて感じさせられるって感じがする…」