ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 1063
「僕なんかが理想では…美月さんみたいな人だったら低すぎるくらいですよ」
「そんなことないよ。匠くんはいつも他人のことまで気配りしてくれる、性格もイケメンな人なのよ」
「そうですかね…」
「奥さんが羨ましいと思っちゃうのよ」
「そんな持ち上げないでくださいよ;…ここ奢りましょうかぁ?〜」
「クスッ…そういう自分のことを過大評価しないところも好きよ…」
腿に置かれた手に力が篭る…
ぅえ?;…
これってもしかして…誘われてるってことなのか?…
ゴクリと聞こえるくらいに唾を飲み込む。
心臓が嫌でも高鳴るのがわかる。
「本当は匠くんのこと…」
美月さんが微笑み、視線をグラスに落とす。
「ココは匠くんに任せようかな。もう一軒、イケる?」
「まだ飲むんですか?」
「違うよ…匠くんの、コ・コ」
…膝よりさらに奥を摩ろうとする美月さんの手。
いよいよ緊張はMAXに達する。
うわぁあ…;
柔んわりと置かれる美月さんの温もりを感じ、僕はもう降参だ…
「どう?…私となんかじゃ嫌かしら…?」
「そ、そんなこと…、仕事中に見せる自信はどこに行っちゃったんですかぁ?…」
「それとこれとは別よ…“女”としての自信なんて…」
どこか寂しそうな顔を見せる美月さん。
男関係はもう何年もうまく行っていないことを物語る顔だ。
そんな表情に感情は一気に変わる。
「行きます?」
「匠くんはやっぱり優しいのね…」
店を出て、2人、ホテルにチェックインする…