ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 1054
「純ちゃんは…?」
「私はどこだって寝れますから気にしないで下さい…」
「それじゃあ一緒に寝ようよ…」
「クスッ、エッチなこと考えていません?…」
「おいおい;…人を覚えたてのガキ扱いするなよ…僕はもうすぐ29だぜ…」
流石にもう勃ちそうにもないしね;…
今夜は純ちゃんで2人目のお相手だなんて言えないけどね…
それを知らない彼女はクスッと笑う。
「私はいつでもウェルカムですけどね」
「そうやって誘われてもねー」
「まあいいです。寝ましょうかね」
純ちゃんの寝室へ。
そこからは本当に何もなく、ぐっすり眠れたのだ。
朝もホットミルクをご馳走になってからの出勤…
出掛けに葉月ちゃんに出くわしたらどうしよう…と心配もしたけど、会社のある駅まで着いたからもう安心だ…
先を歩いている細身の背中は間違いなく新庄だ…
背も高くて後ろ姿だけでも女の子にモテんだろうに、なんでうちのお袋とそういう関係になるかな;…
声をかける気にはならなかった。
できればあまり職場でも話したい雰囲気にはなりたくない。
美玲ちゃんにも気の毒だ。
『彼とは終わったんですよ』
と聞ければ少しは楽にでもなるんだが。
そのまま電車に揺られ、今日も出社。
「匠くん、おはよ」
「ああ、おはよう」
ちょうど入り口で美月さんと一緒になる。
「あらぁ昨日と同じワイシャツ…もしかして誰かの家に泊まったんですか?…」
おっと;…女の子が職場に多いと、そんなとこまでチェックされちゃうんだね;…
「いやぁ、たまたま手にしたワイシャツを着て来たんだよ;…そう言えばコレ、昨日着てたワイシャツだよね;…」
僕は脇を臭うポーズを取り、この場を胡麻かそうと必死になる…