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マンガ家理恵先生とアシの晋一くん
官能リレー小説 - 年下

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マンガ家理恵先生とアシの晋一くん 58


「でも課題やら出されちゃって、高校とあんまり変わりませんよ」
「その高校ですらもう遠い記憶だもん」

苦笑いする晋一を横目にカーテンの隙間から覗く高い空を見上げる。
蝉のなく声も夏の盛りを感じてか、一層険しく響いていた。



「あ〜ぁ、あと少しでクラゲが出ちゃうなぁ。結局今年も海行けなかったや……」



ポツリ、と独り言を呟いたつもりだった。


「え!?海ですか?」

雑誌に注がれていた視線がものすごい勢いで理恵に向けられる。


「う、うん……海……」
「行きたいですっ!先生の水着姿ぜひ見てみたいです!」
「え!?水着!?」

晋一は瞳を輝かせて楽しそうに続ける。

「朝から行って泳いで、海の家でご飯なんか食べましょうよ。午後も目一杯遊んで夕日なんか見ましょうよ」
「随分泳ぐのね……」
「中学のまで水泳やってましたから泳ぐのは好きなんです」
「あぁ、初めての時も聞いた気がする」
「先生泳げますか?」
「そんなに距離は泳げないけど、プールとかは好きだったよ」
「じゃあ行きましょうよ!」



夏休みの家族旅行を待ちきれない子供のような顔で見つめられる。
冒険を夢見てワクワクする少年のような表情だ。

理恵にとってもそれは魅力的な夏の誘いだった。
晋一と一緒に海にいきたい。
一緒に一日中遊んでいたい。
それはキラキラした思い出になるだろう。
楽しくない、なんて事は絶対にないと胸を張って言える。

しかし理恵にはどうしてもその思いを踏みとどませる要因があった。



「んん〜、行きたいのは山々なんだけど……」
「なにか事情があるんですか?」
「事情って言うのかなぁ」
「海に入れないとか?」
「いやいやいや、入れるよ。海水オールオッケー」

じゃあなんですか?と言わんばかりの曇った表情。

「いや……ね?あっ、あれよ!水着がなくてさ〜、一枚もないの!これじゃあ海どことかプールにも行けないよねぇ」
「買いにいきましょうよ」
「えっ」
「僕もちょうど実家に置いてきてないんですよ、一緒に買いにいきましょう」
「あ、晋一くん……」


「今日なにも予定ないんですよね?早速買いにいきませんか?」
「えー、あぁ……」

視線を泳がせ、理恵は慌てふためく。
そんな彼女を見て晋一に不安がよぎった。

「先生……本当は僕と一緒に海行くの嫌ですか……?」

「い、嫌なわけないじゃん!彼氏と行く海だよ?楽しみだなぁ」


しゅんとうな垂れる晋一を見て理恵は白旗をあげるしかなかった。




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