PiPi's World 投稿小説

マンガ家理恵先生とアシの晋一くん
官能リレー小説 - 年下

の最初へ
 38
 40
の最後へ

マンガ家理恵先生とアシの晋一くん 40



クーラーの効いた教室は、半袖の晋一を容赦なく冷風で包み込んだ。
じりじりと熱い日差しで焼かれながら駅から歩いてきたとはいえ、この冷たさは身震いする程だった。
「頭痛くなりそうだな……」
と呟きながら、なるべく直接風が当たらない席を探す。
前から4列目の窓際の席に腰を下ろし、鞄から分厚い活字しかない教科書とルーズリーフを取り出す。
頬杖をつきパラパラとページをめくってみるが、この教科書に興味を持ちそうな要因はめくり終わるまで見つからなかった。
視線を窓の外の中庭に向ける。

パンを食べる人、本を読む人、木陰で談笑している人、それに混ざってカップルがちらほら見受けられた。
肩を並べて本を読みふけっているカップルもいれば、手をつないで散歩しているカップルもいる。

それを見て頭に浮かぶ事は理恵の事だけだった。


自分も理恵と肩を並べて本を読みたい。
自分も理恵と手をつないで昨夜のように散歩をしたい。
もっともっと沢山の事を恋人へ昇格した彼女としてみたいと思った。



想像はどれも楽しい物で晋一を自然と笑顔に変えていく。
どちらかというと笑顔というより、にやけに近いが。
ふと、窓ガラスに映った緩んだ表情の自分と目が合い、慌てて表情を消す。

「はよっ」
突然頭の上から振ってきた声に晋一は驚きながら振り返る。
「……おはよ、翔太が遅刻しないなんて珍しいな」
「もう遅刻欠席が許されないんだってよ」
面倒くさそうに近くの席に座る翔太と呼ばれる青年と晋一は入学式からの付き合いだ。

入学式で翔太は隣に座った晋一の顔を見た途端「ずるいな、その顔」と声をかけた事がキッカケだった。

「はぁ、マジめんどくせぇ、この講義つまんないんよな」
「面白い講義なんて数える程もないよ」
「なんだかんだ言ってお前ノートとってるじゃん」
「この講義、課題がレポートだから一応と思ってさ」
「真面目だよなぁ、晋一は」


だらんと足を投げ出して天を仰ぐ翔太に晋一は苦笑いする。
「少しは翔太も真面目に講義受けろよ」
「いいんだ、オレはバカだから」
それはなんの理由にもならないんじゃないか、と思ったが心にとどめておいた。
「それよりさっ!今日お前ヒマ?」
「その目は……生憎今日は予定が入ってます」
「なんだよ、その目って」
「また飲みにいこうっていうんだろ」
「当たり!この前途中でお前帰ったから、あの子たちにもう一回連れてこいって頼まれてるんだよ」
「あのお前の友達?」

SNSでこの小説を紹介

年下の他のリレー小説

こちらから小説を探す