マンガ家理恵先生とアシの晋一くん 34
屈託なく晋一が笑うと理恵の中に幸福感が溢れる。
以前は一目惚れなんてありえないと思っていたけど、実際こんなにも一目で好きになった男性の側にいて、笑っている自分に驚いていた。
ましてやその思いが実るなんて考えても居なかった。
「またボーッとしてますよ」
「あっ、本当?」
「なに考えてたんですか」
「ん、ふふ、なんでもないよ」
「教えてくださいよ」
「どうしても知りたい?」
「はいっ」
口を閉じ手招きすると晋一がズリズリと理恵に近づく。
背筋をのばして、二人の隙間をなくす。
理恵はサラサラの髪から覗く耳に唇を寄せ呟いた。
「晋一くんの事」
晋一の頬はすぐに赤く染まり、期待通りの反応に満足する。
「またそんなズルい事を……」
「ズルい?」
向き合った晋一の瞳は真剣で、理恵の中の女が震えた。
「さっきから僕ばっかりが嬉しい」
「ぷっ、あはっ、本当?」
「な、なんで笑うんですかぁ?」
「あははっ、ううん、私も嬉しいんだよ?一緒にいるだけで」
晋一の首に腕を絡め顔を近付け、続ける。
「こうやっていられるのが凄く嬉しいの、ちょっと信じられないくらい」
「信じられないのは僕だって同じですよ」
理恵の腰に腕を回しぎゅっと抱き寄せる。
二人の隙間はなくなり吐息が互いに伝わる。
「特に昨日の僕はこの状況を想像もできなかったと思います」
そう言って少し意地悪そうに笑う晋一は理恵の知らない彼だった。
「ん……ごめんね」
「でも今は先生がこんなに近くにいる、それだけで十分です」
「うん……」
瞳を閉じ唇で彼のそれに触れる。
少しあごを引くと答えるように晋一の唇が開き水音が漏れた。
ゆっくりと舌を絡める。
互いの温度と味を分かち合う。
「ん、ふっ……はっ」
唇を吸われ、熱くなった舌が口内をうごめく度に、体の奥がきゅっと疼く。
くちゅくちゅと淫美な音が響く。
収まりきらなくなった唾液は唇の端からこぼれ、首筋にかかろうとしていた。
「晋一く……んっ……」
「先生……」
唇を絡めたまま、理恵の手が晋一のシャツのボタンをひとつひとつ解いていく。
肩からシャツを落とすと、さらけ出された胸板に触れる。
指の腹で肌をさするとくすぐったいのか、体が少し揺れる。
首筋から、肩、二の腕を優しく撫でる。
腕から脇腹そして胸板に戻ってくると、彼がいつもするように主張している頂に触れた。
そのまま親指と人差し指でやわやわと刺激を与える。