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マンガ家理恵先生とアシの晋一くん
官能リレー小説 - 年下

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マンガ家理恵先生とアシの晋一くん 32

「昨日言ったのは全部嘘、忘れて」
「本当……ですか?」
「ぜーんぶ嘘!」
「そんな……」
「やっぱり迷惑だった?迷惑だよね?昨日の今日で……」

しゅんと肩をうなだれる。

「良かったぁ」

晋一は手のひらで顔を押さえ安堵のため息をはきだした。
やっとまともに空気をすえた気がする。

「僕一人で空回りしてるのかと思ってて……よかったぁ」
「へ?ってことは」
「僕も先生が好きです」


顔を上げ、これまでになく嬉しそうに笑う晋一に、今度は理恵が安堵する。
瞳にためていた涙がすっとこぼれ落ちると、堰を切ったように次から次へと涙が溢れてくる。

「うぅ……」
「泣かないでくださいよ」

いつの間にか隣に移動して晋一の腕に抱きしめられる。
理恵も、背中に腕をまわしそれに答える。
晋一のシャツに涙の跡をつけた。

「私の方が子供で……うっ、嫌われたと思って」
子供のように嗚咽をもらして泣く理恵の背中を優しくなでる。


「嫌いになんかなりませんよ」
「ほんと……?」
顔をあげ、晋一をみつめる。
「はい」
頬を流れる涙を指で拭い、キスをする。
ちゅっと音を立てて離れたそれは触れるだけ柔らかいのキスで。
理恵の心の中が暖かい感情でいっぱいになる。

「大好き」

背中にまわされた細い腕に力が入る。
小さいけど、はっきりと理恵の唇からこぼれた言葉は晋一に届いていた。


「僕もです」

相手の存在を確かめるように強く愛しむように抱き合う。


「あの、さっきのもう一回言ってくれません?」
「なにを?」
「大好きってやつ」
「ばか」




「外も暗くなってきましたし、送りますよ」
晋一がスッと体を離すと、駄々をこねる子供のようにすがりつく。
肩に顔を埋め腕に力を込めた。
「今日泊めてって言ったら……だめ?」
「えっ」
「一緒にいたいの……」

血液が沸騰する気がした。
消え入りそうなくらい小さな声だったが、確かに聞こえた。
こんなに甘える姿は、普段の理恵からは想像がつかない。
ちらりと覗く理恵の耳は真っ赤に染まっていた。

「ど、どうぞ」
「ありがと」




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