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マンガ家理恵先生とアシの晋一くん
官能リレー小説 - 年下

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マンガ家理恵先生とアシの晋一くん 31

見覚えのある腕にかかる長い髪で、その人物が誰か瞬時に理解できた。


「せ、先生?」

声をかけると、びっくりしたのか肩を弾ませ勢い良く顔を上げる。
やはりそこにいたのは理恵だった。

「あ、……おかえり」
「どうして……」

理恵は立ち上がると白いフレアスカートの裾を二回叩きホコリを落とす仕草をした。
「はじめてうちに来たとき履歴書持ってきてくれたでしょ、あれ見て」
「あぁ」
晋一としては、どうしてここにいるのかを聞きたかったのだが、あえて聞き直さなかった。



「あの、部屋……入っても良い?」




晋一は、この時ほど自分がきれい好きで良かったと思った事はなかった。
普段から散らかさないように気をつけていて正解だと、心の中で安堵する。
昼間のうちに溜まった部屋の熱気を逃す様に窓をあけると、涼しい夕風が滑り込んで来た。

「狭いですけど、どうぞ適当に座ってください」
「ん……ありがとう」
理恵はテーブルの前にペタンと腰を下ろす。
晋一はその正面にあるベッドの上に腰を下ろした。


正直予想だにしなかった理恵の訪問に、晋一は焦っていた。
自分の家なのに落ち着かない。
理恵は下を向いたまま座り込んでいる。
風が髪を揺らすと、首周りの開いた紺のカットソーから鎖骨がのぞく。
いつか付けた赤い跡がうっすらと確認できた。
熱い情事がフラッシュバックし、晋一の顔をほのかに染める。

「あの……ね」

下を向いたままの理恵が口を開いた。

「昨日の事を話そうと……思って」
「…………」

なにも言わない晋一にかまわず、理恵は続ける。

「あれからずっと考えてたの、私がいけないのにどうして素直に謝れないんだろうって。晋一くんの言う通り、晋一くんが女の人と飲んでてやきもちやいたの」
「え?」
「だけど認めたくなくて、認めたら……なんか自分がイヤな女になる気がして。それにやきもちやく権利なんかないと思って」

ゆっくり顔を上げると晋一の目をしっかりと見据える。
理恵の瞳はうっすら濡れて光っていた。

「だって私たち、恋人同士じゃないでしょ?セックスはしたけど、好きって言ってない」
「なっ……」
「だからね、だから……」


やっぱり自分だけが空回りしていたんだ、と目の前が真っ暗になる気がした。

「ちゃんと言うね」
「…………」

「晋一くんが好きなの」


「……え?」

野球ボールが頭に直撃したと思うくらいの衝撃だった。
息が止まったかと思ったら、すぐに体中の血液が沸騰する。

「き、聞こえたでしょ?」
理恵の顔もゆでだこの様に真っ赤に染まっている。
恥ずかしそうにチラチラ晋一を見ながら続ける。

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