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マンガ家理恵先生とアシの晋一くん
官能リレー小説 - 年下

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マンガ家理恵先生とアシの晋一くん 29

「ちがいます、なんでインターホンで確認しないんですか、変質者だったらどうするんですか!」
「あ、あぁ……」
「こんなチェーンなんてどうにかなるって話ですよ」
「そっか、ごめん……ってか何でいるの?」
短くため息をつくと晋一は答えた。
「中に入れてくれませんか」



普段は隣に座るのだが、今はテーブルを挟んで向かい合っている。
座っているのは晋一だけで、理恵は腕を組んで壁に寄りかかっている。
まともに晋一の顔を見れるはずもなく、そっぽを向いたまま喋り始める。

「で、どうしたの?こんな夜遅くに」
「電話が……気になって」
「女の子が待ってると思ったから早めに切ったの」
「女の子は適当に帰らせましたし、そういう目的じゃないです」
「へえ、晋一くんはそうじゃないかもしれないけど、あっちはその気だったかもよ」
「先生……」

酔いがぬけきっておらず、まだ意識に薄い膜が張っている。
笑う気なんかないのに言葉を口にする度、口角があがってしまう。
いま晋一の瞳に映る自分はとてもイヤな女だろう、と思っていた。


「せっかく晋一くんに近づけるチャンスだったのに、残念ね、可哀想に」
「先生っ!!」

それは穏やかな晋一から想像できないほど大きな声だった。
驚いて振り向くと晋一が立ち上がり、理恵に向かってきた。

咄嗟に逃げようとしたが、すぐに捕まり腕を壁に押さえつけられた。

「いたい」
「本気で言ってるんですか?」
「……なにが?」
「本気で僕が他の女に言い寄られて、可哀想、と思って言ってるんですか」

押さえつけられる腕に力がこもる。

「そうだったら?」



「僕は」

声が震えている。

「僕は……嬉しかった……」


すぐそこにある顔を見上げると、苦しそうな表情。
こんなときに限って、その整った顔に見惚れてしまう。


「あの電話で、不機嫌そうな声を聞いて……やきもちやいてくれたんじゃないかって勝手に思って、嬉しかったんです」

淡々と言葉が続く。


「僕は先生みたいに大人じゃない」

「大人の先生には笑われるかもしれないけど、嬉しかったんだ」


何も言わず晋一を見つめていると、腕にかけられていた力が弱まる。
何も言えなかった。
頭の中が真っ白になって。


「すみませんでした、夜遅くに」
スッと体が離れる。
ソファに置かれたバッグを掴むと足早に遠ざかる。

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