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マンガ家理恵先生とアシの晋一くん
官能リレー小説 - 年下

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マンガ家理恵先生とアシの晋一くん 28

「怒ってないよ、全然」
「…………」
「可愛い女の子待ってるみたいだから、そろそろ切るね」
「先生っ」
「来週の土曜日、よろしく」

そう言って乱暴に通信を切った。
ぎゅっとケータイを握りしめて感情を押し殺す。
怒ってない、怒るはずがない。


だって私たちは恋人同士ではないもの。

セックスは何度もしたけど、お互いに好きとは一度も言っていない。

他の女の子と仲良くしようとしても何も言えない。

彼を怒る権利なんかない。

そう自分に言い聞かせる。
しかし、わき上がる感情を押さえることは出来ず、涙が溢れてくる。
「……あれ?なんで……」
ポロポロこぼれ落ちる涙は止めどなく溢れ、目の前をにじませた。


アイスはとっくに溶け、理恵の指を伝って落ちた。






あれからシャワーを浴びてもテレビを見ても、ちっともやる気が起きず夜ばかりが更けていく。
ケータイを無意識に開くが、そこには着信のマークもメールのマークもない、ただ時間だけが表記されていた。
イライラと焦燥感が募り、胸が痛い。

あんな小さな事に怒って大人げない態度を取って、普段ならすぐに謝るのだが、なぜか今日はそんな気にもなれなかった。
意地を張っていると自分でも分かっている。
だから余計に腹がたつ。
自分にも晋一にも。


「もーーー!やめやめ!悩むのやめた!」



冷蔵庫から缶ビールを取り出し、口をつけ一気に流し込む。
半分ほど一気に飲み込むと少しくらっとした。
しかし、もう一度口をつけると残りの半分も飲み干してしまう。

「う〜〜、ちょっときついな」

開いていない缶ビールを片手に持ちソファに身を埋める。
思考が働かない様にアルコールを流し込む。
一気飲みが効いてきたのか、すぐ意識に膜が張った様な感覚に落ち入る。
「んん……」
とろんとした意識の中、目を閉じると眠気が襲ってくる。
理恵はそのまま意識を手放した。








再び意識が浮上したのは、けたたましく鳴るベルのせいだった。
「んんん〜〜〜??うるさい……」
ゆっくりソファから起き上がり時計を見ると夜中の1時だった。
鳴り続ける大きな音にうんざりしながら玄関へ向かう。
「誰よもう……」

チェーンをつけたまま施錠を外しドアノブをひねる。
「……はい」
「……なんで開けちゃうんですか!?」
そこには驚いた顔をした晋一が立っていた。
思わぬ訪問者に理恵も驚いたが、頭ごなしに怒られカチンときた。
「はぁ?何回もチャイム鳴らしたのは君でしょ!?」

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