ありのままに生きたくて 8
何かを思い出すようかのように呟く隆太さん…
隆太さんも親のことで苦労したのかもしれないな…
「隆太さんのご両親は?…」
お兄さんは癌で亡くなったのは綾香さんから聞いたけど…
「もう2人とも亡くなったよ…ずっと此処で店やってたんだけどね…」
あー、此処は綾香さんのご主人の実家だったって訳なのね…
「それじゃ隆太さんはずっとこの地で育ったんですね…」
都会に出てからお兄さんのご病気とかあって、また此処に戻ってきたってことなのかぁ。
「そうだね、懐かしい空気は感じたけど、何も変わってないのが残念にも感じたよね」
綾香さんが開発の話とか言ってたけど、それも全部ならなかったわけね。
「えーと、とりあえずこの部屋を使って、って」
「ありがとうございます」
「まあ空き部屋で申し訳ないんですけどね」
「いえいえ、突然お世話になるわけですから」
「それじゃ、晩飯までゆっくりしててください」
「はい」
「僕は隣の部屋にいますから、何かあったら何でも言ってくださいね…」
隣の部屋に同じぐらいの年齢の人がいるなんて、兄妹が出来たみたいでちょっと嬉しい。
とりあえず備え付けのベッドに身を沈める。
食欲も満たされた今は久しぶりにゆっくり寝りたい…
締め付けるブラを外し、キツめのGパンも脱いで、Tシャツ一枚でウトウトし始める…
どこか遠くで子供たちの元気な声と、廊下をバタバタと駆けまわる足音が聞こえる。
「うーっ……」
どのくらい寝てたかな…
久しぶりに気持ちのいい柔らかなベッドの上で眠れて幸せな気分になれた。
窓の外からは夕日が差し込んでいて、まだ晩御飯の時間ではないのかな。
「マジかよぉ。ショウリュウブルーのねーちゃん来てるって…あのおっぱい、マジでプルンプルン…」
ドアの外からそんな独り言が聞こえた。
彼が、そうか、綾香さんの上の息子さんなのかな…
二階の窓から見下ろすと白の開襟シャツに黒いズボンの少年…
制服を着ているところを見るともう小学生では無さそうだ。
「こんにちはぁ〜」
黙っているのも何なんで上から声を掛ける。
「うわぁ!!」
こっちを見上げた少年は驚きながら尻もちをつく。
眼を丸くした少年はやっぱり綾香さんに似てイケメンだ。
「ごめん驚かせちゃった?」
手を合わせ気付く…着ていたTシャツが捲れ上がってパンツが丸見えになっていたのだ(汗