ありのままに生きたくて 13
「ばっ!?隆太兄ちゃんまでそんなこと!?俺はいい!別にいいから!」
「ふふ、尊ったら顔真っ赤よ〜」
「うるせえ!」
尊くんは慌ててご飯をかき込み、ちょっとむせながらも完食したのち、お茶を一気飲みして2階の部屋にあがって行ってしまう。
「素直じゃないんだからなぁ、あいつも」
「微笑ましいです」
「まあ藍さん、優と一緒に入ってやってください」
「え、いいですけど…」
子供といえども異性と一緒に入るのは初めてかもしれない…
「やだぁ無理しないでいいのよ…うちは性教育も兼ねてよく4人で入るから、そんなこと言ってんのよ…」
話しが聞こえたのだろう…キッチンから綾香さんが顔を出す。
ん?4人…
ってことは綾香さんと隆太さんも一緒に入るってことなの?
「だ、大丈夫ですよ…優くんはまだ子供ですから…」
隆太さんと入ることを思うと、ずっと気は楽だ。
「じゃあ今日は藍さん、優のこと、お任せしましたよぉ」
「あぁ、はいっ」
「わーい、ショウリュウブルーのお姉ちゃんと一緒だぁ!」
ははは、優くんの中では私はいまだにショウリュウブルーなんだなぁ。
そんな時間がたってないのに懐かしく感じるよ。
元気いっぱいの優くんは一目散でお風呂場へ。
廊下に洋服を脱ぎ散らかして行くもんだから、案内なしでもお風呂場の場所が分かってしまう。
優くんの服を拾い集めて脱衣所に行くと、扉の前に尊くんが立っていた。
「あれ?、どうしたの?…」
機嫌直してくれたのかな?
「べ、別にどうもしねーけど…」
バツの悪そうな顔をした尊くんは、目も合わさずに不貞腐れて見える。
「もしかして、一緒に入りたいって思った?」
「ばっ馬鹿、そんなわけないだろっ」
「じゃあ何でここにいるのかな?」
「…………」
素直じゃないなぁ。
まあ素直じゃないからからかい甲斐があるんだけど。
「君だってショウリュウブルーを見てたわけだよねぇ?」
「ショウリュウブルーはそんなことしないだろ…」