磁石 9
マットに向け仰向けに反転した啓太の身体は、スプリングにより小さく跳ねた。
身体から斜め30゜の角度で聳え勃つ啓太自身が、丸々と亜衣の前に晒されていた。
改めて見るそれは、お姉ちゃんが落胆していた通りではあたっが、
亜衣には、性に疎いお姉ちゃんならば、それを不服に思うのも、致し方無いとも思えた。
亜紀は千佳とは違い、ウブでも無ければ疎い訳でもなかった。
多くの男たちとの経験を積んできただけに、その啓太の粗末さをも温かく包み込める、そんな度量の深さを培われていた。
それは、このお姉ちゃんの身体しか知らない、男としてはまだ未開発と言ってもいい、そんな啓太の身体を、
壱から自分が開拓できるという、そんな母性にも似た欲望が、亜紀の中で芽生えてきていた。
亜衣は啓太のものをくわえこんだ。
深く口の中へ…啓太の反応を見ながら
舌で絡ませながら、愛の形を表現した。
頬張る亜衣の姿。
裸の亜衣。
重量を持って垂れる亜衣の乳房が、上下の頭の動きと共に、ゆさゆさと揺れている。
そんなルームミラーに映り込んだ亜衣の姿を、啓太はどこか他人事のように、第三者的視線で眺めていた。
千佳にはさせたことはなかった。
風俗の匂いがして、千佳にそこまでして欲しいとは思えず、唇を寄せてきた時にはそれを拒んだ程だった。
それなのに今、亜衣の赤い唇に咥え込まれ、しゃぶられ、根元から尿道口までをも吸引されることに、不思議と抵抗は感じ無かった。
それどころか、ここまでしてくれる亜衣の気持ちが嬉しかった。
啓太は始めて受けるオーラルでの愛撫に、身も心も浸っていた。
女の中には、それが嫌いな者もいることは知っていたが、亜衣にはそれは初めから抵抗は無かった。
抵抗どころか、好きと言ってもよかった。
相手が口の中で大きくなっていく様を直に感じられ、それが自分の技であることに、悦びも感じた。
男子が女子の胸を意識するように、亜衣も子供の時から、男の人の股間の膨らみが気になっていた。
アイドル歌手やイケメン俳優をテレビ画面で見ると、無意識に目はそこへ誘われていた。
それでも大きさにこだわりを持っていた訳でもなかった。
男子が自慢する巨根は、返って痛さを伴い、亜衣はどちらかと言うと小さめの方が好きだった。
それは痛さも去ることながら、巨根の持ち主が一様に変な自信を持っており、自分への愛撫がお座なりになるのに比べ、そこに自信の無い男の方が、指や舌を命一杯に使い、たっぷりと前戯に時間を掛けてくれるからかもしれなかった。